秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

酒とバラの日々

簡単な問い

国の豊さとは何を基準とするのだろう…。人の幸せの基準って何なのだろう…。世界の安定は何を目指せばいいのだろう。 簡単な問いに、ぼくらは確かな答えを持っていない。 国の豊かさを成長率やGDPが示す時代は、もう終わっている。成長を実感できるのは、限ら…

犬の遠吠え

高齢化の波と格差の波が同時に進んでいる…ということに、ぼくらはあまりにも無頓着だ。 江戸末期、西欧諸国が脅威とすら考えた、この国。西欧化しかり、軍事力の近代化しかり、敗戦後の高度成長しかり。 システム変更といえば聞こえはいいが、要は、外圧から…

ツケ

宮澤賢治は一度、現実から逃避したことがある。 父との確執から上京。信奉する法華経の勉強の傍ら、のちに発表される童話の多くをモラトリアムなその時期、書き綴った。 東京での生活苦と妹とし子が肺病にならなければ、きっとそのまま東京で過ごし、農業指…

あなた自身が

ぼくらは普段、憲法を意識していない。 人によっては、憲法の条文をまともに読んだことのない人もいるだろう。中学や高校で学んだはずなのだが、全く覚えていないという人もいるに違いない。 確かに、日々の生活で憲法を意識することも、憲法を知っていない…

少しずつ勝つ。

高校生のときだ。「北朝鮮のミサイルが日本の米軍基地に発射された!」というデマが流れたことある。 いまの福岡に住む人にはわからないだろうし、基地のある町に住んだことのない人たちにもわからないだろう。 福岡空港が板付空港といわれ、空港の半分が米…

だって、わたし、悪くないもん!

だって、わたし、悪くないもん! このところ、ぼくらの回りには、言葉にするにせよ、しないにせよ、そう思う人が増えているような気がする。 自分は悪くない。それは加害者ではないという主張だ。果ては、私は悪くない、ほかの誰かが悪いのだという被害者意…

傷のない腕に巻かれた包帯

ぼくは、もう10年ほど前から、ある評論本の企画を持っている。内容を検討しているときに、あの震災が起きた。 そして、その評論本の中で、描こうとしていたことの多く、ぼくらが取り戻さなくてはいけない課題をあからさまに震災が突き付けてくれた…と実感し…

きれいごとの増産

教育というのは、そもそも不遜なものだ。そういったのは、ルソーだった。 子どもを大人たちが求める人間に意図して育てる。それが教育の本質に過ぎない。ルソーはそう言いたかったのだ。 大人たちのつくった、家庭、地域、社会の規範や倫理、道徳に従うのが…

ようなもの、なるもの

30年…それは数字や文字にするとずいぶん長い歳月のような気がする。 だが、こうしてその歳月を生きてしまうと、なんとその短いことか、速いことか…光陰矢の如しというたとえが、年齢を重ねるうちに実感として染みわたる。 ひとつの仕事、一つの会社。そう…

申し訳ない

人を幸せにするのものはなんだろう…。 人権にかかわる映画や社会問題をテーマにした舞台や映画をつくってきて、福島というこの国や地方のあり方を問われる現実に向き合ってきて、いつもどこかにあるのは、そんな簡単で、一番難しい問いだ。 快楽度数、快感度…

一生懸命のその先

「一生懸命なんて、最低限の庶民のルールだろうが! そんなものひけらかして、自分はがんばってますなんて、くだらない言い訳してるんじゃないだろうな!」 正確ではないけれど、つかこうへいの名作『熱海殺人事件』にそんなセリフがあった。 つからしいアイ…

たて・よこ・ななめ・右左真ん中・その向こう

視点の取り方で世界はいろいろに違ってみえる。 だが、それはおかしいことでも、いけないことでも、まして、不思議なことでもない。 なのに、ぼくらは、どうしてもいろいろな視点とそれゆえにもたらされる、多様な意見や異なる考え方を受け入れたがらない。 …

そのためなのだ

三世帯同居の家でもない限り、高齢者の姿やふるまい、言葉が日常的な時間からすっかり遠くなっている。 かつて、老い行く姿と死は生活としてあった。家や土地の普通としてそこにあったからだ。老いと死を含めて地域があったからだ。 だが、いまでは、それら…

くじけて強くなるんだよ

世の中は、大義という名の名目で動いている。 自分には道義がある、事を起こす道理がある。自分という個人で覚束ないときは、集団や組織、地域、社会、国家のそれに置き換えて、大義を主張する。 だが、軸にあるのはあくまで、自分のそれであり、自分が属す…

美しい顔をした悪意

三島由紀夫は「美しい顔をした悪意」という言葉をよく使っている。 三島の小説世界には、感触がない。感触を伝える小説の技巧を意図して削り、文楽や能のように、微細な所作やふるまい、視線の中でそれを伝えようとする。 その二次元世界の中では、「美しい…

誇らしいことだ

ぼくらは外見や社会的な地位とか職業、学歴や収入といったもので人を値踏する。本人ばかりでなく、親や家族のそれを見て、当人の価値を決める。 あるいは、過去の経歴とか、実績とか、周囲の評価といったもので人を判断する。 場合によって、その人が努力し…

あなた次第

いまでは何か特別の用件でもない限り、自分の育った街に帰ることはない。 それでも、前もって帰省の連絡をすると、高校時代の悪友たちが数人集まってくれる。これといって話すことがあるわけでもなく、互いの近況を少しばかり話すと、あとは高校時代のやんち…

踏み絵

ぼくらは、いま「踏み絵」の時代を生きている。 味方か敵か。同じか同じでないか。仲間か仲間ではないか。自分たちの世界のものかそうではないか…。 いま話題の政治の世界の話ばかりではない。いや、政治がそうなのは、ぼくらの生活、家庭、地域、社会、もっ…

選択

なにかしら、どこかしら、いまのままでいいわけがない。おそらく、多くの人がそう思っている。 既存の政治、マスコミ、制度やしくみ、価値。それがどうしようもなく劣化し、老朽化して、すっかり、ぼくら庶民生活の実状から遠く離れていると感じてる人も、き…

対話しない人たちの世界

ぼくは子どもの頃から気づいていた…。 大人たちは子どもと会話ができないこと、していないこと。していないことに気づいていないこと…そして、していると思い込んでいること。 大人の常識に従順な子どもたちは、従順でない子どもたちのことを何ひとつわかろ…

脳をつなぐ自由

理想や夢を語るとき、あるいは、未来のビジョンやプランを語るとき、進めるとき、そこに年齢は必要なのだろうか。 あるいは、立場や帰属しているもの、肩書きとかキャリアとか、経験とか、重要なのだろうか。 ぼくは、そういうまどろっこしいものがない方が…

おかしなコミュニケ―ション力

ぼくは、たまに話上手だとか、聞き上手だとかいわれることがある。コニュニケ―ション力があるとか… だが、ぼく自身はそんなふうに思ったことも、それを自分の取柄だと感じたことも、そうだなーと思ったこともまったくない。 自慢じゃないが、もともとぼくは…

月をめでる

これからの季節、月が美しくなる。 ぼくは快晴の夜に浮かぶ月よりもやや雲間にある月が好きだ。透き通る、おだやかな空気の夜。ほんのりとたなびく雲のはぎれが月の光を受けて、青白く漂う向こうに、凛と浮かぶ月だ。 この間、何かの話の流れで月の満ち欠け…

君の名は…

ぼくは福島の薄磯海岸の街の被災を目にしたとき、それが、それからのぼくの人生や生活にこれほどの変化を与えるものだとは想像していなかった。 事前に知っていったわけでも、意図して訪れたわけでもないそこには、ぼくの心を強く引き付ける美しい海があった…

覚悟

身をゆだねてみる…それは簡単なようで難しい。 身をゆだねるというと、おいおいそんな主体性のないことでどうする、自分の道は自分で拓くもんだろうという人がきっといるだろう。 あるいは、そんな他人まかせ、人頼み、運まかせでどうするんだと諭す人もいる…

不快指数

この夏、東北の被災3県の日照時間が異常に低い。先日いった相馬では、この夏、11%少ししか日照がなかったと有機自然農法に取り組む若い農家青年から聞いた。 豪雨や長雨で田んぼも畑も水びたしの状態が続き、稲や野菜の成長が阻害され、このままでは収穫も…

みちびきとヘンタイ

今日、「みちびき」という衛星がまた軌道に乗った。 あとひとつ、打ち上げられ、4つの衛星みちびきが、これからぼくらのナビや気象や防災情報を新しく、より確実にしてくれるらしい。 みちびき…日本的で、いいネーミングだw ぼくは、なにかの縁で訪ねるこ…

小さな島国の小さな人たち

Our nation is small island, but We are not small men. かって、あるイギリス首相がドイツとの戦争の折り、国民に投げかけた言葉らしい。 昨夜、NHKスペシャルの終戦記念ドラマ「返還交渉人 沖縄を取り返す」の中でこのエピソードが登場した。 主人公の外…

公を取り戻す涙

ぼくらの社会は、もうずいぶん前から…おそらく、20年以上前からだけど、公(おおやけ)の力が途轍もなく、希薄になっている。 少子高齢化がもっとも大きな要因なのだけれど、それらへの対策が現実にそぐわないばかりか、公の希薄化という視点で取り組まれて…

のっかろう

「Man of La Manchaラ・マンチャの男」のセリフで好きな言葉がいくつかある。 「事実は真実の敵なり」…。 事実は、こうである…と、あたかもそれが真実であるかのように語られる言葉には、多くのウソやまやかしがある。そこには、真実から人々の目を背けさせ…