秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

#映画監督

自己責任という名のカッティングオペレーション

貧富の差を語るとき、自己責任という言葉がこの国では付きまとう。付きまとうだけでなく、まず、先に出るのは自己責任だ。 顕著になったのは、言うまでもない、小泉政権時代。アメリカ、イギリスから始まった新自由主義の潮流をこの国にいわば強引に導入した…

主役はだれかなのか忘れてはいないか

女性の参政権がこの国で認められて、まだ、わずか70年しか経っていない。戦後、日本国憲法が誕生してからのことだ。かのイギリスでさえ、わずか100年程前。 それまで、女性は政治にかかわることもできなければ、自らの権利や人権を主張することもできなけれ…

承認という病のバイオハザード

かつて、ぼくらの思春期の承認は、先生から褒められることでも、親から認められることでも、成績がいいことでもなかった。 それらはあった方がいいには決まってるし、ぼくらもあった方がいいだろうなとわかっていた。 だが、幼少期から思春期前期まではそう…

数学なんて苦手~とかいってる場合じゃない

人類は文明といわれるものが誕生する以前の古代から数学を使っている。石器をつくるにしても、獣を襲うにせよ、火を起こすことにも数学や物理学が関与している。 文明の誕生と発展に、数学は欠かせないもので、ぼくらが話す言葉、言語も数学だ。音楽も、演劇…

ぼくらくらいなもの

数人の高校生たちが始めた環境保護を訴える運動。それがいま欧米を中心に世界の高校生に広がっている。 ハリウッド女優や政治家のインターン女性が、勇気を出して声を上げたセクハラ被害。いまはme too 運動として世界的な言葉になった。 格差への反発はパリ…

どこへ行けるというのか

『オリンピックの身代金』(KADOKAWA刊・奥田英朗著)という本がある。テレビドラマ化もされている。 昭和39年の東京オリンピックを舞台にした、いまでいう爆破テロ計画を企てた男のノンフィクションだが、その背景に描かれいるものは事実だ。 当時、日本中…

あなたは世界から愛されているか

世界から尊敬され、信頼され、愛される国であってほしい。そういう日本でありたい、国民でありたい…。そう願わない人はいるのだろうか。 日本国憲法が目指したのは、戦争の過ちを犯し、自国民はもとより、アジア諸国を中心に世界に多大な苦難を与えた日本が…

風評という言葉はいらない

福島県が退去を拒否している自主避難者の避難住宅(借り上げ)からの退去勧告を行ったことが弱者切り捨てのように叩かれている。 ここに来るまで、1年以上かけて、県の担当職員、自主避難者の自治体職員が自主避難者一人ひとりに国の予算の期限切れについて…

アップデートできない国

多数派であろう。そして、できれば、多数派の中枢にいたい。 いまに始まったことではないが、まるでDNAに組み込まれたもののように、多くの日本人がそう思っている。 そう生きることでこれといった変革や改革も起こさず、ただ以前あったシステムや制度、形式…

はぶかれるのがこわいチキンハートの国

自分の弱さや弱みをさらけ出すというのは容易なことじゃない。この世の中の多くの過ちや間違いといったものは、大方、それに起因していると思う。 体面や面子、体裁といったものの背後にあるのは、それだし、虚勢や虚言といったものもそれに起因している。 …

砕けたステンドグラスたちの壊れた承認

ぼくらは砕け散ったステンドグラスのような存在だ。 片割れのいくつものステンドクラスがそれ自体、自分という存在のすべてを表象できないように、ぼくらは、ぼくであることの感触を得ることができないでいる。 それでいながら、破片の一つひとつの存在、ど…

信じられる大人の姿

たぶん、ぼくがひねくれ者だからだろう。 この時期、テレビの震災関連の報道特集や慰霊特番、スペシャルドラマといったものにひどく違和感を覚える。 人の悲しみや痛みは他者が容易に共有できるものではない。当事者でなければわからないこと、わかっていて…

大人がいなくなった社会

芝居や映画の世界では常識とされていた、レンブラント照明。 オランダの巨匠レンブラントの絵画から引用されていると御存じの方も多いはずだ。 あるいは透明感に満ちたフェルメールの窓から差し込む光…。 中世や近世の絵画はモチーフとされる表象の一つひと…

ゆりかごの中のぼくら

三島由紀夫の『文化防衛論』が出版されたのは、1969年。執筆はその前年のことだ。 当時、世界に広がり、日本にも怒涛のように押し寄せた学生運動の潮流に危機感を抱いた三島は、左翼を含め、この国に蔓延している欧米主義、明治以後の日本の極端な欧化政策に…

大人の姿勢と知性

子どもであった頃の記憶を消して、大人のふりをする。 子どもの頃の満たされなかった欲求感情を引きずって、子どもであった頃の純真さを持ち越していると勘違いする。 思春期、青年期の子どもたち、若者たちが一番疎ましく思うのは、そんな大人たちだ。 昨今…

まやかしの日常

聡明な人たちは気づいている。ぼくらは日常を生きてはいない。 それは、日常というものが実は存在しないからだ。 聡明でない人も、直感として、本当は察知している。 日常と思い込もうとし、思い込むことによって、初めて日常が成立し、維持されるていること…

自問と反省

ぼくは中学生の頃から、大人たちが決めたルールや決まり事といったものに一言二言、場合によって三言以上意見をいう癖があった。それを疑問も持たず受け入れている同世代ともうまくはやれなかった。 唯々諾々と大人の考えや意見に従うという子どもではなかっ…

忘れてはいけない感動と課題

あらかじめ約束されていたかのように、ぼくはまた東北のいろいろな人たちと、表に見えていない震災後の現実と再び出逢っている… 前回の弾丸ロケハン、それに続く撮影。そして今回の弾丸ロケハン。あの震災のときと同じように、回を重ねる毎に、見えていなか…

ありがとうございました。

ぼくらは常に主役ではない。 ぼくらの仕事は、悲嘆や恩讐や後悔や無念…それらを乗り越え、回復や挑戦へと向かい、喜びや感動、新しい世界と出逢う人々の姿を知り、学び、その人生の傍らから、そこにある人の思いを整理し、伝えやすい形とし、そこから見える…

我なすことは

我なすことは我のみぞ知る…そう言葉を遺したのは龍馬だ。 何につけ、これを実現しよう、達成しようと心に誓った思いは、そしてその行動は、余人に理解できるものではない。それが社会的なことであればなお、真意や思いの誠は容易に理解されないものと相場が…

とどまらない予感

東北でも北に行くほど、訛りが強くなる。 その岩手訛りを聴きながら、この音を直に耳にするのは、久し振りだなと心の中で、ぼくはつぶやいていた。 相馬からトンボ返りで、飯田橋のKADOKAWAホールで国指定無形文化財岳神楽、別名早池峰神楽の会長と打ち合わ…

ポケットの小銭

立場(肩書き)が人をつくるとかつてはいわれた。 ちょっと頼りなく、あぶなかっしく思える人材でも、それなりの要職、責任を伴う肩書きを与えると、その役分に見合うように成長していく…というものだ。 確かに、自分の青年期から中年期を振り返ると、当たっ…

センス

会話としての外国語を習得することと文学や評論を外国語で学ぶことには大きな違いがある。 文学や評論を外国語で学ぶのは、外国語を習得することが究極の目標ではない。外国語の習得がなければ、海外の文学や評論、その他を理解することは、もちろんできない…

チコちゃんに叱られるの先

NHKの週末の高視聴率番組「チコちゃんに叱られる」。ご覧になっている方も多いはずだ。 NHKらしく、子どもから大人まで、だれでも楽しめる教養番組だが、この番組、じつは、世の中の常識とされているものの原理、原則、基本を問いかけ、常識ゆえに素通りして…

検察の誠

多くの日本人が知らない。そして、政界、法曹界の多くが知っている。 日本の司法、とりわけ検察には、青少年期から東大法学部進学のために勉学に励み、在学中または卒業後、司法試験を突破して、検事、検察庁高官、裁判官、最高裁裁判官になった熱心な創価学…

デラシネの旗

いま虎ノ門界隈を始め、港区、中央区、渋谷区など、都内主要区では大規模都市開発が進行している。 三井住友不動産や森ビルが競うように複合型高層ビルを建設し、これに合わせた道路整備事業も加速している。 ぼくの住む乃木坂、赤坂周辺も道路拡張工事とマ…

無恥の文化のいま

「こんな恥ずかしいことがよくできるなー」とか、「恥の上塗りをして、よく平気でいられるものだ」とかいった言葉をぼくらは口にする。あるいは、そういいたくなるような場面を目にする。 アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトが『菊と刀』を上梓した…

幻想としての国、社会

ぼくは、20年以上前からいっている。 国、社会といった公的概念は、人々が同じ幻想を共有し合うことで成り立っている。同じ規範、同じ倫理・道徳観を共有することで、法があり、法に基づき、社会制度やシステムが維持されているのだ。 欧米や中東など諸外国…

犬の遠吠え

高齢化の波と格差の波が同時に進んでいる…ということに、ぼくらはあまりにも無頓着だ。 江戸末期、西欧諸国が脅威とすら考えた、この国。西欧化しかり、軍事力の近代化しかり、敗戦後の高度成長しかり。 システム変更といえば聞こえはいいが、要は、外圧から…

ツケ

宮澤賢治は一度、現実から逃避したことがある。 父との確執から上京。信奉する法華経の勉強の傍ら、のちに発表される童話の多くをモラトリアムなその時期、書き綴った。 東京での生活苦と妹とし子が肺病にならなければ、きっとそのまま東京で過ごし、農業指…