秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

耐性という鈍感さ

ぼくらは一時期、結核という病にまったく無関心でいられた。 結核が、それまで不治の病といわれ、がんよりも死亡率が高ったことなど、おそらく、いまの若い人はほとんど知らないだろう。 ペニシリンに始まり、抗生物質が次々に登場し、衛生医療の発展もあっ…

変わることはない

日銀短観が発表された。今まで使われていなかった、景気は拡大へ向かっているという文言が久しぶりに使われている。 家計消費はこの数年、マイナス消費で、拡大とはまったく無縁だ。企業の役員や幹部社員以外の一般サラリーマンの給与は物価上昇率に追いつい…

互いの努力と欲望

数年前の日本アカデミー賞作品賞に「舟を編む」があった。 その中で、コニュニケ―ション能力が豊かではない不器用な青年が、ぼくは人の気持ちがわからないから、仕事で人とうまくやっていけるかどうか自信がない…といったことを下宿先の大家さんに語る。 す…

民主主義という怪物

気に入ったことだけやる。気に入った人とだけつながる。気に入った人の集合を目指す…。一見、自由で当然のことようだけれど… 民主主義というのは、自由、平等、博愛といった、その掲げる普遍的価値Universaly Valueがなくなれば、ここにあるように、相性や共…

ほど遠い、笑顔

不寛容さの時代…なんて、だいぶ前からいわれているけれど、ぼくには、どうもそう思えないんだ。 確かに、世界の潮流は、移民排斥や民族優位主義、そこからくる人種差別や排他主義へと走っている。 分断を煽り、それによって、敵をつくり、これに同調させるこ…

海を取り返す

ぼくは、今年、海を取り返しに行こうと思っている… 海を取り返す。それは記憶の海を取り返すことだ。当然、その記憶は歪曲され、変質し、創作されたものだ。人の記憶は、身勝手な脳が作り出す、辻褄合わせの仮想に過ぎないのだから。 だが、それを承知で、あ…

言い訳はするな

男なら、言い訳はするな。 そんなセリフはつとに耳にしなくなった…そう思うのはぼくだけだろうか。 男女差は関係ない。だから、男なら…は、余計かもしれないが、子どもの頃に、親や周囲の大人たち、あるいは部活の先輩などから、そう言われることは当たり前…

それをいっちゃ、おしめぇよ

「それを言っちゃー、おしめぇいよ」。 映画『フーテンの寅』シリーズには必ず使われる決まり文句がある。そのひとつがこれ。 よく使われる下町言葉。じつは、ぼくらの暮らしの中には、それにはふれない、いわないことが賢明だとする文化がある。 人間関係、…

無力な公式語

ぼくは道を歩いていても、コインランドリーにいても、だれかとお茶をしていても、行き交う人の姿や周囲の店や建物にひどく心を奪われてしまう。 以前、ある人と歩いていたら、「ねぇ。私の話、聞いている?」といわれ、「ああ、聞いている…」と答えのだけれ…