秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

2022-01-01から1年間の記事一覧

あなたなんか、大嫌い!

社会に無関心であろうと、政治に興味がなかろうと、世界情勢と無縁だと思っていようと、人はそれらと無関係でいることはできない。ごくありふれたぼくらの日常も、それらと関係なく存在するのではない。興味のあるなしや関係性の自覚・無自覚とは無縁に、ぼ…

だれか書いてくれないかねぇ

残された者、生き延びている者には使命がある…またそう思わせる親友の訃報を知った。亡くなったのはひと月前。 大仰なことや派手なことが好きではなかった。だからだろう。葬儀もお別れの会もなく、身内での見送りだったらしい。突然の死だったこともある。 …

踏み絵を突き付けた銃弾

遠藤周作の小説「沈黙」。国内外で映画化・舞台化されて来たが、記憶に新しいのは、2016年公開された『沈黙 サイレント』(監督マーティン・スコセッシ 主演アンドリュー・ガーフィールド)だろう。※余談だが、この映画公開のあと、私は札幌駅の千歳空港へ向…

      ”Please forgive us, We forgive you."

2002年の初夏のことだ。9.11からあと数か月で1年という時期だった。ぼくはある平和イベントの企画プロデュースを任されていた。そこで流す取材動画収録のため、単身、撮影機材を抱えて、アメリカへ飛んだ。 折しも、ネオコンに支配されたブッシュ政権が9.11…

茶番劇と茶菓子

茶番劇という言葉がある。日本では、歌舞伎から生まれた言葉だ。下働きの未熟な役者は、楽屋で上位の役者たちにお茶の給仕をするのが常だった。つまり、お茶の係、茶番が楽屋でのもっぱらの仕事。舞台での出番がないので、上位の役者たちが楽屋を出ていって…

スターリン主義と無意味性の連携

反共…。いまや死語、古典といっていいだろう。 先進国の多くで、社会に異議を唱える人々を一括りに、「アカ」と呼び、それを排除のスティグマとしてきた。 当然ながら、そこには、資本家とその一部だけが得をする資本主義社会の弊害や問題点、矛盾に対して、…

セブンティーン

突然、目の前に、広く大きく、視野が拓ける瞬間を経験したことはないだろうか。 世界が一瞬にして変わったと実感した瞬間だ。そして、いままで自分が抱いていた世界観がいかに矮小で卑近で歪なものだったかに気づく瞬間だ。倫理や道徳を越え、自由で、知性と…

許されない蛮行

安倍元首相へのテロ事件。この国のマスコミ、ジャーナリズムがいかに、国民の深層にある不満や不信と負のエネルギーを理解していないかがよくわかる反応だった。「こんなことが日本で起きるとは想像もしてなかった。ショックだ」。そして、口を揃えて、「暴…

希望の国

このところ、訳あって韓国映画を見続けている。 私だけではないだろうが、高度成長期から消費社会へ向かう過程を時間差で追いかけてきた、中国や韓国の映画は、あの時代に少年期から思春期、青年期を過ごして来た多くの日本人にとって、ある種、自分たちの時…

なんで見えない

「なんで見えない、わたしわからない…」 名古屋入管で死亡したスリランカからの留学生、ウィシュマさんの亡くなる最後の言葉だ。死亡時、ウィシュマさんの体重は20キロも落ちていた。病状が現れてから、死亡するまでの間、適切な医療処置や入院搬送されてい…

芸と芸術の間で

演劇の世界から映像の世界へ転向して間もない頃だった。 NHK主催の映像セミナーに参加したとき、NHKを退職してフリーとなり、基調講演に登壇した演出家の和田勉さんと話をしたことがある。 和田さんは、映画とは異なるテレビの制約された特性を生かす映像表…

燕は戻ってこない

書籍をわずか数時間で読破したのは、五木寛之などの大衆小説を貪るように読んでいた、高校生の頃以来かもしれない。 新刊の桐野夏生著『燕は戻ってこない』。 www.shueisha.co.jp 決して短い小説ではないが、最初の1ぺ―ジで引き込まれ、午前遅い時間から読み…