秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

なにもしていないのに等しい

作家の五木寛之が震災直後から、この国は、新しい時代、放射能時代に突入したのだ…と語ったことがある。 日常的に国民が放射能線量を意識する…それは、一見、福島第一原発における問題のように感じるかもしれない。福島の問題として限定した見方を持つ人がい…

映画の力

震災がなければ出会えなかった人たちがいる。わずか2年と9ヶ月。だが、その時間は震災、原発事故被害、風評被害…それにまつわる復興、復旧、そして再生、新生という動きの中で、じつに濃密な時間だ。 おそらくは、仕事やなにかの仲間の出会いであれば、わ…

置き去りにしてはいけない

いわき駅から富岡町に到着するまで、激しい雨が続いていた。カメラが雨に濡れてしまう…そんな心配をしながら、線路がセイタカアワダチソウに埋もれた駅に到着。 雨と風の音、それに倒壊した家屋の風できしむ音…遠く聞こえる波の音を聞きながら、ひとり、雨の…

明日に咲く花

明日に咲く花…ではなく、人は、今日の今日、いまのいま、花を咲かせたいと思う。とりわけ、若いときはそうだろう。 早く、他人や世間に認められたいと考えているからかもしれない。あるいは、親や家族との確執や逆に親や家族への恩義から、それに応える応え…

一服の珈琲

表参道にある老舗珈琲店、大坊珈琲店が年内で閉店になる。その話はすでにどこかでしていると思う。 いまや出版界の伝説だが、文化出版局の「NOW」という、男のダンディズムを看板にした硬派な季刊誌があった。当時、男性誌といえば、平凡パンチやプレボー…

心の自由

昨夜、1年ぶりくらいに、出版社の酒豪編集者Rが来訪してくれた。相変わらずの酒豪だが、以前会ったときよりかなりやせている。 物事への取り組み方が丁寧で気遣いと読みが深い。段取りもうまい。だが、それだけ実現能力が高い分、Rでなければできないとい…

本物

演劇でも、映画でも、美術やその他のアートにおいても、私が20代の頃に比べれば、無名な新人や集団でも、かなり容易に自分たちの作品や演技を人の眼にふれさせることができるようになっている。 アートや芸術文化の裾野が広がっているのはいいことだと思う。…

ひとりひとりの願い

被災地で、小中学校や高等学校と地域住民、支援団体が一緒になり、いろいろな取り組みがされている。 被災した沿岸に花を植える。残された壁面に鮮やかなペイントを施す。あるいは、地域の伝統文化や遺跡遺構、寺社仏閣の歴史を掘り起こす。伝統芸能に参加し…

人の道

今年の東京同窓会の代表幹事にされてしまって、その関連の作業がちょいちょい顔を出す。 この数年、封書による案内はなく、往復はがきでの通知だった。年々、参加者が少なくなっている現状を考えて、封書による通知を復活させた。また、どうせ、同窓会なんて…

凶悪に、がんばります

普段、テレビドラマをほとんど紹介しない。つまらないからだ。だが、どうしたことか、今期、TBSやCXで少ないがいいドラマがある。 私の場合、視聴率がいいという基準は関係ない。単純に台本がいいか、題材が挑戦的か、キャスティングが斬新か、俳優がうまい…

ずっとずっと奥

覚めた人と覚めていない人がいる。正確には、覚めたように見える人とそうではない人というのが正確かもしれない。 何事につけ、なにかひとつの事象があるとすぐに感情の起伏が表に出る人と、どこかそれを遠くで眺めているように、心がじっとしているように見…

絶対的なファン

福島、そして地方にとっていま必要なのは、その地域の絶対的なファンを都市部だけでなく、全国、世界につくることだ。 あえていえば、福島全県でなくてもいい。会津地方のある地域、中通りのある業者、ある生産者、あるいは加工業者、旅館経営者でもいい。い…

孤独の中の一粒の種

映画や演劇、あるいは音楽その他、表現の世界にいる人、あるいは、その世界で生きようとしている人とそうではない人との間に、実質的には何の違いもない。 進もうとしている道、取り組もうとしているなにかが違うだけで、人としての存在のあり方に相違がある…

Humans of FUKUSHIMA

昨日、夕刻過ぎに表参道の246commonからぶらぶら歩きながら、乃木坂までの裏通りを歩いていると、きれいに半月の月が夜空にぽっかり浮んでいた。 昼間の気候とはうって代わり、ほどいい、さらさらした風の中、ヒルズの上空たかく、夜空に浮かぶ半月が美しか…

カスタマイズ

いま社会が個を読めなくなっている。 少子化における結婚、子育て、出産、女性・男性の就労形態の問題にせよ。高齢化における医療、介護、生活支援の問題にせよ。若年層の就労形態による賃金格差、生活格差と地域からの流出にせよ。生活保護世帯や仮設避難住…

経済とは

どの世界でもだが、ひとつの世界、業界の中で、そこそこ知られているとか、そこそこキャリアがあるというだけで、その人の能力や人柄に見合わない地位や立場、権力を与えられる人たちがいる。 基本にあるのは、その世界、業界や団体、組織の緩さとそうした肩…

後遺症

学生の頃、友人や仲間たちと冗談もずいぶん言い合ったが、社会のことや政治のことになると時には、互いに激昂して、激論を交わすということがあった。 居酒屋のテーブルをたたき、他の客がいることも忘れて、まだ未熟だった互いの考えをぶつける。じつに人迷…

不遜の極み

人はその日、そのときどき、あるいは、瞬間瞬間でいろいろな気持ちをいだく。 そして、世の中には、その気持ちをいだくだけの人とその気持ちをいだいてしまう自分をみつめる人とがいる。あるいは、そうした気持ちを抱かないように人とのふれあいや葛藤を最初…

世界への縁側

社会参加や社会奉仕、社会貢献を当然とする社会…高度経済成長から消費社会、そして低成長から成熟した社会へ到達した、次にあるのは、本来のその姿だ。 もっといえば、自分の生活というものの充足、満足を求めるものから、自分の生きる地域や社会という枠組…

におい

中学生のとき、図書室の虫だった。虫とはいっても、自然科学の書棚には目もくれず、ひたすら、人文の棚ばかりをあさっていた。その棚にあった本はすべて読みつくした。 それは、読書のおもしろさがあったからだけではない。あの図書室のシンとした、本のにお…

その一点

自分がなにかでありたい欲求。それとはできるだけ早い時期に出会い、かつ、だれかにいわれたからではなく、自ら学習を積むということが必要だ。 同時に、その学習の実践の場に自ら身を置くということも大事だ。 そして、ある水準まで自分がたどりつくまで、…

複次元の思い

演劇のおもしろさは、その複次元性にある。多元的であるというより、同一空間、同一時間の中で、複合した次元が同時に存在する。そのおもしろきが演劇なのだ。 と、冒頭からわけのわからないことをと思う人もいるだろう。だが、自分の日常の時間を冷静に紐解…