秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

ほど遠い、笑顔

不寛容さの時代…なんて、だいぶ前からいわれているけれど、ぼくには、どうもそう思えないんだ。

確かに、世界の潮流は、移民排斥や民族優位主義、そこからくる人種差別や排他主義へと走っている。

分断を煽り、それによって、敵をつくり、これに同調させることで政権基盤を確立する、いわゆるポピュリズムもその顕著な姿だ。

ゆえに、不寛容だと指摘されているのだが、一方で、この国の政権や国民はなんと、その彼らに寛容なのだろうw それも彼らの国の国民より、はるかに寛容だ。

この国の政治や国民が欧米諸国や欧米人にことのほか弱いのは、いまに始まったことではないのだけれど…

何の違和感や疑問もなく、トランプ政権の方針や政策を議論のテーブルに載せ、載せるばかりか、やたらに同調しているのが、ぼくには、不思議でしょうがない。

これは、プーチン大統領来日のときも同じだ。

トランプ政権は、まだ閣僚人事のすべてが埋まっていない。埋められないでいる。共和党の一部を含め、民主党も合意できない無理くり人事が出されているからだ。オバマケアの無効をいいながら、新しい法案も成立できなかった。

公約がまったくといってほど、履行されていない。政権としては、歴代政権と比べて、途轍もなく脆弱だ。

政策運営の中心には、娘や娘婿、それに類する親族企業関係者やトランプ企業ともつながりの深い財界の富裕層を並べ、それがロシアコネクション疑惑の元凶になっている。すでにFBIが本格的な操作に着手しているくらいだ。

先日の習主席訪米では、娘イヴァンカが密談で会談し、自分のファッションブランドの中国における販売で有利な条件を引き出している。

ロシアコネクションにせよ、チャイナコネクションにせよ、親族縁者の富裕層で固めた実務人事も、すべて、利益相反行為 Acts conflict of interestに該当する可能性が高い。そのせいか、ホワイトハウス訪問者や大統領との面会者の公開を今後一切しない方針が打ち出されて、これも物議をかもしている。

日本では、これらがまったくといってほど報道されていない。また、先のシリアへのミサイル攻撃で、一晩で莫大な利益を得た軍事企業や投資家がいることも伝えられていない。

投資家や富裕層、大企業を周辺にはべらせば、当然、密室での会議で利益相反といえる行為を是認する空気がつくられる危険がある。現実に、北朝鮮へのこれまでにない軍事力の展開では、戦争になる以前に、膨大な軍事費が費やされている。

そこですでに利益をえている軍事関連企業や投資家は、トランプ政権に有象無象いるのだ。

まさに、プーチン方式といってもいい、権力と財閥がつながった、政権の私物化と取り巻きへの金ころがし。

このことを報道しないのもさることながら、これに追従しているのだから、この国の寛容さは世界からしたら、驚きだろう。もちろん、追従するのにはわけがある。追従することで、甘い汁を吸える輩が、またこの国にも有象無象いるからだ。

それに、あれ、おかしい…とも思えず、洞察し、斟酌する力や知性のない人たちが、国を明け渡すような愚行を愚行とも思わず、笑顔を振りまいている。

笑顔は、人を幸せにするというけれど、それには、あまねく人を幸せにする力があるときだ。いまある笑顔は、深い寛容さの輝くそれにはほど遠い。