秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

変わることはない

日銀短観が発表された。今まで使われていなかった、景気は拡大へ向かっているという文言が久しぶりに使われている。

家計消費はこの数年、マイナス消費で、拡大とはまったく無縁だ。企業の役員や幹部社員以外の一般サラリーマンの給与は物価上昇率に追いついていない。

一方で、この4月から生活用品や光熱費が値上げされ、ますます庶民の生活は窮屈になっている。

社会保険加入者が増加し、就労人口は増えていることになっているが、じつは、パート・アルバイト勤務で長期勤務者が人事から社会保険加入を薦められて創作されている数字だ。

商工会議所や業界団体、企業組合が政府・厚労省の号令で、パート・アルバイトの正社員雇用を促され、給与勤務体系はそのままで、保険だけ正社員並みの対応をとっているせいだ。企業倒産も増えている。

数字のマジックで、政府、政権の取り組みがまちがっていないかのように演出するのは、治世者の常套手段だが、データでなく、実態をみれば、一目瞭然、拡大とは程遠いのがわかる。

奇しくも、トランプ政権が、税に関する法案を発表した。公約にあったとおり、減税だが、その対象はトランプ企業を含め、富裕層を対象とした法人税の大幅な減税と所得の高い個人所得税の減税もしくは法人税への転換だ。

投資家、大手企業経営者、富裕層を集めた政権が自分たちの権益、既得権益を一層増やそうとしているのがあらかさま。しかし、この税改正で、6兆ドルの赤字が出ても、景気浮揚で財政赤字は解消できるとしている。

この国も、同じ理屈で、異次元緩和というウルトラCを使い、法人税減税など、富の集中、格差を広げてきている。

いずれの政権も、実態とは異なるデータを引き合いに出す、あるいは、データの別の一面、実態を示さず、示しても、全否定して、自分たちの格差容認、富の集中をよしとする姿勢をひた隠しにしていることだ。

格差是正に取り組む、被災地に寄り添う、沖縄に寄り添う…言葉ではいいながら、その実態は、政権が同じなら、変わることはない。

そして、それでいいという国民が半数以上とするなら、彼らが変わることもない。