秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

自分色 自然色

自分色に染めてしまいたい…

征服欲、支配欲、独占欲…大小の違いはあれ、ぼくらの心には、だれかを、なにかを自分の考えや嗜好と一致させたいという欲求がある。

場合によって、それが昂じると、一致させる、同調させるだけでなく、自分のそれとまったく同じでなくては気が済まないといった病的ともいえる状況を望むようになる。

背後には、自分色は、正しい、まちがっていないという、信じられないほどの確信、いや狂信と、裏付けのない、根拠のない正義がある。

それが、一致、同調、同一化ではいやだというだれかやなにかへの徹底した否定にもつながっていく。

異議をいうこと、違和感を主張することがはばかられ、萎縮する。結果、裏付けのない確信と根拠のない正義が、あたかもそれらがあるかのように人々に容認されていくことになる。

だけど、人の心って、人の思いって、そう簡単に一色になるものなのだろうか…なれるものだろうか…

自然界は、多様な色彩と音にあふれている。ぼくらは、自然の中にいて、その生物多様性をうざいとも、疎ましいとも感じない。逆に、多様、多彩であることに感動したり、安心したり、癒されている。

考えてみてほしい。自分と同じにしか物事を考えない人にあふれた世界、自分と同調してるだけのなにか…。同じような人と同じような結びつき。それはかえって、居心地が悪く、おもしろみがないばかりか、恐怖ですらある。

そもそも、自分色で染められるものなど、この世には存在しない。そう思える、そんな気がする程度のものしか、ぼくらは持ち合わせいなし、その狭間で、人とつながり、なにかに帰属しているのだ。

似たような人間、似たような集団にあふれた社会に未来を拓く力は生まれるものだろうか。人々にとってよりいい社会はつくれるものだろうか。

歴史を振り返れば、そんな社会はどこにも存在しない。存在しないどころか、そうしようとした社会は、崩壊している。

共謀罪の法案が強行採決された。安保関連法と同じく、その法案の内容や議論が十分国民の中で尽くされていない中での強行採決だ。安保関連法と同じく、現行の法律の枠の中で、可能なことをそうではないと否定し、自分色にどうしても染めたい首相の意向がそうさせている。

トランプ大統領が連発した大統領令は、アメリカの成熟した権力分立の力が自分色をよしとする大統領令を押しとどめた。

この国はぼくらを置いて、どこへ行こうというのだろう…