秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

日本を考えている

昨夜、相双子供病院設立を目指す一般財団法人の東京での顔合わせ会があった。

この計画を発案し、実働し、金銭的にも負担を追いながら推進しているのは、現在、須賀川の病院へ出向いているK医師。MOVEの「大いわき祭」からのメンバー。
 
地域医療の現実、とりわけ、福島の県北から相双地区(相馬・南相馬双葉郡)の医師不足の現実に、その打開策として、医師自らが立ち上がった。
 
いま全国的に、産婦人科医と小児科医は不足している。それが、福島にあっては、原発事故被害による不安から、それらの医師が異常に不足しているのだ。
 
求めるときに、子どもが必要、適切な医療を受けられる。妊産婦が安心して出産にのぞめ、かつ出産後のケアをきちんと受けられる…それは、いわば、地域に家族が安心して生活していられるからどうかにつながる。

もっといえば、家庭を最小単位として、地域が形成されるかされないかにもかかわっている。
つまり、産婦人科と小児科は、地域を医療に置いて支える基本にあるのだ。

まして、福島は被災の傷を負っている。放射能の問題を含め、向こう50年はそれと向き合い続けなくてはいけない。
 
昨日も書いたように、少子高齢化がそれによって加速する中で、避難地域ではないエリアでも、地域そのものが成立しなくなる危機すらあるのだ。

今回の相双子供病院設立の背景には、単に医療だけではなく、そうした戦後69年、置き去りにされてきた地域のあり方への見直し、再生への願いが込められている。

地域の再生を子ども病院の活動から実現していく。それは、いわば、地域再生の文化事業であり、単なる病院建設とは違う、ソーシャルメディカル事業なのだ。

K医師のイメージには、医療の実現は当然ながら、それによって地域社会を医療・健康・食文化・芸術文化によって再生する熱い思いと願いがこもっている。そして、この文化事業、ソーシャルメディカル事業を被災した福島から世界に発信したいと考えている。

それは、まさに、いま私がMOVEの活動として次世代育成や地域の伝統文化・芸術文化の再生、継承なしくして、地域再生の道は実現しないという思いと同じだ。地域単独ではなく、多くの他の地域の人々の支援協働を受けいれながら、その市民力を世界に発信するという願いと同じだ。

私たちは20年先、30年先、50年先の福島、日本を考えている。

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