秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

人こそ要

ふるさとの再生とか、活力の回復とかいうと、大方は、地域の物産や商品、観光が消費者に受け入れられることだと考えている。

まず、繁盛ありき。まず、金ありき。まず、経済ありき。

確かに、経済が潤えば、雇用の場や機会が増え、地域の商工業、生産者も生活は楽になる。

だが、そうやって戦後70年、地域経済をよくさえすればと取り組んできた地域のいまは、どういう姿になっているだろう。

人の減少、若年層の流失に歯止めもかけられず、ときどきの都市がのぞむトレンドに応えようと地域を金太郎飴のように、どこにでもある○○風にしてきた結果、一時は時流に乗れても、結果的には、時流に取り残されてきたのが地域、地方だ。

自立、自律した地域のあり方、歩む道を模索せず、都市の受け皿、都市の亜流、都市の物まね、都市的なふるまいを求め、地域らしさや地域の人を育むことをしてこなかった。

問題への直視と対策が遅れるのが、中途半端な地域や地方。都市といえるほどではないが、そこそこに都市的ふるまいがとれる場所や地域だ。なんとなく、なんちゃってができてしまう。

いま、いくつかの地域で、人の流入に成功しているところ、新しい地域産業を生み出しているところがある。極端に人口減少が進んでいたり、なんちゃって都会とは縁遠い場所だ。

成功している理由はただひとつ。経済ではなく、人の育成や見守り、人とのつながりと連携を柱においていることだ。格段、秀でた物産や加工品があるわけではない。
あるのは、地域のつながりと地域を代表する一次産業へのこだわりだ。それを求心する伝統芸能や文化の継承だ。

明日から、福島県浜通り地域を回る。原発事故の影響で、知らない人たちの中では、福島の漁業はもうだめだろうと思われている浜を回る。津波で多くのいのちを失い、町や漁港も傷ついた。

だが、そのマイナスをプラスにかえようと闘っている若い奴らとそれを支えている中高年、高齢者がいる。彼らにあるのは、経済もだが、それ以上に人を柱に地域再生を考える姿勢だ。

今期の事業を通じて、経済ではなく、人に目を向けさせる。人こそ、地域再生のかなめ。