秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

私たちの選択

時代におもねて生きていくのか。時代にこびて生きていくのか。時代に逆らって生きていくのか。時代を器用に生きていくのか。
 
人の生き方や考え方は大方、そんなふうに分かれてしまう。
 
だが、時代におもねもせず、媚びもせず、逆らいもせず、器用にもなれず、そのような現世利益に執着した生き方より、その次のその先を創造するために生きる生き方を人は求めている。

潜在的に世の中が求めているのは、そのように現世にのみとらわれない、次の道を示せるリーダーであり、理念や理想を与えてくれる識者の登場なのだ。
 
が、しかし。残念なことに、もうずいぶんと長くポピュリズムに支配されたこの国の人々は、未来のためになにができるかではなく、いま目の前の現世利益を与えてくれそうなリーダーや識者に迎合してきた。
 
これまでの成長時代の心地よさ、経済優先主義のぬるま湯を忘れられない人たちは、長く続く不況と市場原理主義の導入で傷めつけられ、自分だけは、自分の家族だけは傷めつけられる側ではない安穏な場所にありつこうとあがいてきた。
 
その安穏な場所を守るために、他者への不信も生れれば、自分たちと価値を共にできない人間をいじめと排除で、社会から放逸してきた。
 
利他よりも自分さえよければという自己中も生れ、社会のための自己犠牲といったものから撤退してきた。社会のためという見せかけで、それを利益の糧に代えていく。

そして、また、あの成長という名の豊かさとそれが与える現世利益が再現できると、愚かにも信じている。
 
すでに資本として消費できる地球の自然空間は、物資的にも人的にも限界を迎え、いまや残された資源の地はアフリカのみとなっているのにだ。

かつ、現実空間の限界をIT空間に広げようとして、それをやはり、現世利益のためにリーマンショックにみられるようにそこすらも食いつぶし、IT空間におけるマネーゲームは失速を逃れるために、いま一秒の何百分の一、何万分の一という狭い空間で展開している。

 
時代におもねて生きていくのか。時代にこびて生きていくのか。時代に逆らって生きていくのか。時代を器用に生きていくのか。それすらも、これまでの環境と空間を食いつぶす経済優先システムの中では成立しないときが迫っている。

成長があれば豊かな時代がくるのではない。もはやビジネスにおける豊かさは一部の人々しにしか与えられない。しかも、その豊かさはいずれ食いつぶされる宿命にある。
 
豊かさの意味と意義を変換し、求める豊かさのあり方を変えていかなければ、その次のその先の空間、だれもが深く呼吸できる酸素に満たされた空間は出現しない。
 
だとすれば、私たちが選択する道は、ひとつしか残されていない。