秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

対立よりも融和

力に依存したり、名声欲や金銭欲の強い人ほど、世の中を分割したがる。
 
敵と味方に分けたり、仲間とそうでないものとを区別したり、反論する人と賛同する人とを分け隔てしたりする。
 
そうしたものは、基本、素養や成育歴や育った家庭環境、地域性や受けた教育の質と内容に左右されている。多くは、なにか満たされないものが長くあり、憧れの対象となる、権威や名声のようなものが強くあってのことだ。

世の中、対立軸を設けて理解しようとするのが、じつは一番簡単なのだ。自分に明確な意志や決意、あるいは自信のない人は、この一番簡単なところによりかかる。

しかし、それでは世界は広がらない。人の輪も広がらない。相違点を生かして、思考を広げるということもできない。つまり、まともな議論も話し合いも成立せず、それを通じて、何事か全体にとってよりよきものを生み出すことはできない。
 
いま、10倍返し、100倍返しという言葉が流行っている。確かに、すかっとする。耐え抜き、蹂躙され、理不尽な対応をされて、それを最後にひっくりかえせば、それはそれですっきりする。
 
だが、果たしてそれでいいだろうか。ほんとは、10倍返し、100倍返しが大事なのではなく、人の世の道理、当然あってしかるべき、筋道を通すことの方がじつは大事なのだ。
 
道理と筋道を通すことに真摯であれば、いずれ、自然に味方は現れる。それが大きな権威やバックボーンのようなものを持っていなくても、きっと人を支える別の力を与えてくれる。
 
一気に勝つことが大事なのではない。コツコツと闘い続ける意志と行動が大事だ。そこでつくられる信頼の方がはるかに尊く、美しく、そして、ほんとうの力なのだ。
 
そこにあっては、対立軸が必要でもなければ、敵味方の分割もいらない。ただ、誠実に、どのような石が飛んでこようと、困難が立ちはだかろうと、自分の道を歩み続けるだけなのだ。
 
震災後から時間が経つほどに、被災地でもそうでないところでも、パイの奪い合いや対立の綱引きが当たり前のようになった。しかし、その変化は仕方がない。人が次へ向かう足場や手がかりを得ようとするとき、人間の醜悪さも含め、いろいろな姿が露骨に浮かび上がる。それは人の世の無情だ。
 
だが、だからこそ、そうした場所に、それとは価値を異なる、対立軸を持たないものが出現すると、世の無情に走って、大切なものを見失いそうな心にブレーキをかけてくれるのではないだろうか。
 
Smart Cityはそうした、人を応援したい。そうした人の苦労を支えたい。
 
 
写真は、震災の年、やっと実現した「大いわき祭」で小野崎さんの紹介で出会った小磯さん。小野崎さん同様、いわきの盟友。対立よりも融和。だから、この人のまわりには人が集まる。
 
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