秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

人迷惑な話だ

高校3年のとき、担任の英語教師にいわれたことがある。「ま、おまえは、大丈夫さ。開き直れるから、心配ない…」。
 
オレの学力では到底合格できない大学を志望校に挙げて進路相談をしたときのことだ。希望大学を書いた紙を見た担任のS先生は、まず、最初におおらかに笑ってくれた。そして、「で、どこ受けるつもりなんだ?」とうれしそうな笑顔のまま続けた。
 
オレ一流のひっかけジョークと思ったらしい。いやいや、マジなんすけど…。そういうと、今度は真顔で、どうしてオレがそういう大学を目指そうとしているのか、いろいろ聞いてきた。
 
そして、どうやらオレが本気らしいとわかると、「おまえみたいな奴は、大学にいった方がいい。しかも、希望しているような私学の方がおまえの個性は行かせるだろう…」。そういった。
 
浪人は前提だが…といった後、続けて言った言葉が最初に書いた言葉だったのだ。

こいつ、よく見てるなぁ…とそのとき、生徒のくせして、その教師の洞察力に関心したのを覚えている。ズバリ当たっていた。
 
生徒指導とは程遠い教師だった。教師然ともしていなかった。生徒に対して感情的になる…ということもない教師で、いつも淡々としていた。
 
ただ、政治や教育、人権の話になると、じつに熱かったし、鋭かった。生徒にも意見を求めた。思考を求めた。学校以外の社会を知る学習を求めた。学生運動や芸術活動に没頭し、あるいは、家が貧しくバイトで出席率や試験を受けていない生徒がいると、下駄を履かせて留年を避けてくれた。
 
いまのようなバカ教育システムでは首だったろう。だが、英語の授業はその優秀さをオレのようなバカ生徒でも感じさせるものだった。
 
オレがそれまで苦手意識のあった英語を好きになり、その後、英文科へ進もうというきっかけになったのは、広島大学英語学科卒のその教師との出会いだったのだ。

高校を卒業して、いろいろなことに直面し、また、芝居とバイトに明け暮れながら、大学に通う生活の中でも、就職もせず劇団を続ける中でも、東宝演劇で帝劇の芝居を書く中でも、そして、映像の世界で仕事を始め、東映の仕事をやる中でも…

社会イベントやシンポジウム、そして、NPOの活動をやる中でも…
 
何か困難や試練、うまくいかない現実にぶつかる度に、凹みそうな自分を支えてくれているのは、あの教師が指摘した言葉だった。「ま、おまえは大丈夫さ。開き直れるから、心配はない」

追い詰められて、うじうじし、挫折の道をゆくのではなく、だったら、やるだけ、やってやろうじゃねぇか! やれないなら、やれない中で道を探そうじゃねぇか!…多少周りにぁ、面倒や迷惑はかけるだろうが、その先には、きっと納得できる道がつく!…

ま、人迷惑な話だw だが、それぐらいの気概と狂人さがないと、よわっちい色男はこのどうしようもない世の中じゃ、生きていけないw