秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

中通り紀行1 作物への愛情と誇り

朝、新幹線で福島市へ。福島市はこれで5回目になる。もっぱら、福島市役所だったのだが、今回、初の県庁。
 
東京でのイベント等では、都道府県会館福島県東京事務所へ行けば、ほぼ要件が片付く。それもあって、県庁に伺う機会がなった。だが、東京事務所にいた担当のKさんが本庁異動の栄転となり、挨拶をしておきたかった。
 
また、fbで、勝手にMOVEページにリンクさせてもらっている、県庁広報課ふくしまから始めよう!に、Smart City FUKUSHIMA MOVEの発足に合わせて、承認をいただいておきたかったからだ。
 
広報課からは、イベントでのグッズの提供協力までいただけることになり、感謝。ここでも、担当の方から、MOVE宣言と同じ言葉、そして、オレたちMOVEが目指している願いと同じ思いを聞かせていただいた。
 
支援する側、される側の関係をこえて、人と人で結びつく対等の関係へ…。まさにそのために、オレたちはSNSを活用しようとしている。

いわきから来てくれたIくんの車で二本松へ。二本松には有機農法にこだわり、地道な努力を重ねている農家グループがいる。FKPの代表Nさんに今年始めに紹介され、なかなか訪れることができていなかった。

ななくさ農園のSさんは、7年前に他の行政から出向できていた、この地域の役場の人。それが里山の魅力にひかれて、とうとう職を捨てて、ここで素人ながら農業を奥さんと二人で始めた。人がらは、朴訥で実直。それでいながら、地域の活力回復に、農家同士の連携が必要なのことを痛感している。
 
仲間と始めた地ビール。東京で飲ませてもらったが、これがうまい。地ビールキライのオレがうまいと思ったのだから、大したものだ。それにワイナリーを始めている。さらに、農家の育成と自分たちの勉強のための生活塾も発足。
 
そうした中から、風評被害打破への道筋をみつけようとしている。
 
だが、水素爆発のときは、このまま農業が続けられるのか、続けていけるものなのか、本気で悩んだ。Sさんだけでなく、この西高内地区の大半がそうだったという。なんといっても、浪江町からそう離れていないのだ。
 
結果、土壌や作物検査で、なんとか続けられるようにはなったものの、これままでの農業と同じではいけないとさらに思いを深くした。ある意味、今回の震災と原発事故が自分たちの決意と意志、そして、連帯を深くしてくれたと思っている。

マイナスをプラスにしたい。課題の前で、そう芯を持って語れる人が自らこの農地に入り、開墾をやり、地域の人々とつくったネットワークと絆こそ、本当のつながりというものだ。
 
「タッチアンドゴーですねw」と笑うSさんと、わずか30分ほどでお別れして、白河へ。
 
わずか30分で終れたのは、時間がなかったからだけではない。こちらの問いや提案をすぐに理解できる知的な方だったからだ。みかけはありがちな農家の青年。汚れた作業着に身を包みながら、体と心の軸と芯がしっかり通っている。
 
この覚悟と決意…そして、自分のつくる作物への愛情と誇り。それがこの人を、またつくっている。