秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

二本松少年隊

次回の八重の桜では、二本松城の攻防がとりあげられる。福島県内の人でも知らない人がいる。総勢62名の武家の男子12歳から17歳の少年が戊辰戦争に参戦。とりわけ、砲術指南だった木村銃太郎が率いた25名の少年砲術隊は全員が死亡した。

会津の白虎隊の悲劇は知られていても、この二本松少年隊のことを知る人は少ないだろう。自刃した白虎隊と違い、二本松少年隊砲術隊は全員戦死だ。
 
昨年の「福島東北まつり」開催前、うちのメンバーのYさんの伝手で、O議員を紹介され、福島県支援事業について意見を述べさせてもらったことがある。八重の桜プロジェクトとして政府主導でNHK、福島県、中央官庁を巻き込んだ福島復興支援事業の会議の場にも参加させていただいた。
 
その事前会議のときも本会議のときもいったことだ。新島八重を描くということは、どうしても会津会津での戊辰戦争がクローズアップされる。しかし、実際には、白河の戦い、そして二本松の攻防、磐城平藩相馬中村藩仙台藩浜通りでの戦闘もある。そこにも話が及ばなければ、会津戦争を描くことにはならない。
 
それが聞いてもらえたかどうかはわらかない。だが、数回前の放送で、射撃訓練をやる二本松少年隊とそれを指導する木村銃太郎が登場し、今回、二本松少年隊をタイトルに放映されることになっている。あとは、浜通りの戦闘についてもふれてもらえればいうことはないのだが…。

先月から福島を回る中で、二度、二本松を訪れた。どういうわけか、そのどこか昭和の空気が残り、少し山間に入ると里山の風景のある二本松がいってすぐ、好きになった。オーガニックをやるSさんが、ここにきてすぐ好きになり、それまで勤めていた市外の役場をやめて、二本松で農業を始めた理由が少しだけわかった。
 
いま二本松は浪江町に近く、いま浪江町役場が置かれ、借り上げ住宅など移り住んでいる人が多い。避難区域に指定されてもおかしくない距離と位置にある。

その二本松で江戸時代から続く小さな和菓子処がある。いま両親と息子さんの3人でやっている。しかし、品数は20種類。創作和菓子の開発にも取り組んでいる。
 
いま店主となっている長男のMさんがいった。「東京に出店しておいしいといってもらって、お取り寄せしてもらうのはとても励みになります…でも…」
 
「せっかく田舎の安い和菓子を買ったのに、逆に送料が高くて、1000円の商品を500円の送料でおくらなくてはいけない…それが、自分としては、お客さんの立場になったら、いいのかな…申し訳ないなぁと思ってしまうんです…」
 
オレはすかさずいった。「それは違いますよ。おいしくて食べたいと思ったから注文してるんです。送料がかかっても欲しいと思ったんです。二本松まできて買うことを考えたら、500円なんて安いものじゃないですか。まったく、気にかける必要なんてないよ」
 
Mさんはうれしそうにいった。「いやぁ。そういってもらうとほっとします…」。自分の店も風評被害で地域のお客は減っている。東京の人の方が喜んで買ってもらえている。それをなんとかしなくては…。そう思いながら、先日、浪江町を見てきて、その現状に心を痛め、何もできない自分に申し訳ないと思ったという。
 
Mさんの店は霞ヶ城(二本松城)公園の前にも出店がある。こういう人たちの文化が、負けるとわかっていても、自分たちの郷土を守るためという思いで、少年たちの心を動かしていたのではないだろうか…ふとそう思った。
 
Mさんの店とは、菓子処まつもと。秋から冬は、くるみゆべしが評判。いまの時期はみそ饅頭に、芋鼓。芋を薄く切り、二枚合わせにスイートポテトを挟んだものだ。女性に大ヒット中。

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