秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

いわき紀行1 はっきり見えている

今回のいわきでの取材。実に実りがあった。農業の現場を支える若い人たちと直接、農地を前に語り合えたことだ。

前回紹介した、ファーム白石の白石さん。以前から付き合いのある、親ばかトマトの助川さん。その地域や農業にかける思いは、淡々としながらも、深い。こういう人たちの意見や願いが少しずつでも形になっていけば、いつか日本の農業そのものを変えていくこともできる…そう思えた。

要は、彼らには、オレのいっている、これからの地域が目指すべき姿、ビジョンがすぐに理解できるのだ。それは、彼らが農業という徹底した日常を生きながら、決して、その日常にあぐらをかくことなく、問題意識を持ち、明日のビジョンを創造しようとしているからにほかならない。

いままでと同じように、いままでと同じ流通に頼り、いままでと同じように大規模市場にだけたよる。そして、都市の情報や力に翻弄され、いままでと同じ慣例、常識の枠の中で、何かに頼り、何かに依存し、時代の変化や経済事情の変化の中でも、ただ、農業助成や給付金に頼る…その引換えに、自分たちの現実など知ろうともせず、本気で行動もしない政治家や政党に協力する。

そうした姿を変えたいと願いが彼らには確かにある。

だが、彼らのような思いと行動は、容易に地域に受け入れられていくものではない。ときとして、異端視され、壁や障害にぶつかるだろう。地域という日常は、ときとして、新しいことを拒絶し、排除するからだ。
 
しかし、ソーシャルネットワークの登場によって、そうした彼らの思いを孤立させない道が拓けた。現実を生きぬくのは彼らでも、それをいろいろな形で応援、声援、支援していくことはできる。

Smart City FUKUASHIMA MOVEは、いわば、地域と都市、地域と地域のつながりの新しい姿をそうした形で、市民同士が支え合う街だ。オレは、それをFUKUSHIMA MODELと呼んでいる。震災、原発事故、風評被害…その中で、それをプラスに変えて、新しい地域のあり方を創造する。
 
それは、決して、FUKUSHIMAひとりの挑戦ではなく、MODELというように、これからの地域の未来のひとつのひな形となりえる。
 
いつもいう。震災によって地域が疲弊したのではない。震災前から地域力の低下は明確だった。それを改めて突き付けたのが、今回の震災と、いまもつづく原発事故処理なのだ。

その言葉に頷き、今日もまた土に向う彼らの中には、きっと目指すべき地域の姿がはっきり見えている。