秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

なにかがオレを待っている

年上、とりわけ、団塊世代に対して、平気で、失礼なジョークを飛ばし、ときには、罵詈雑言、いじりをやるオレを、ときに、妙に気に入ってくださる方がいる。
 
世界のマエストロ、現代のストラディバリウス、SヴァイオリンのSさんもそのひとり。お世話になっている、東映のプロデューサーのKさん、以前からうちの自主作品にスポンサードしてくれている大手アニメ会社の系列会社社長のKさんもそうだ。
 
同世代も同じで、東映の次長のSさん、執行役員のYさん、最近では、自主作品にスポンサーしてくれたメンタルケア会社の社長のMさん、会津との連携の要役を買ってくれた会津地域連携センターのIさんは、さかんに、オレより年下だと主張するが、ま、ほぼ同世代。
 
オレが30代、40代の頃にお世話になった方たちが社会の一線から身を引き、以前のように、おもしろがって引き立ててくれる方が少なくなかった一方、そうした方たちとの出会いで、NPOの活動にせよ、本業の映画制作にせよ、支えていただいている。

しかし、よく考えてみると、オレも、ずいぶん年下の連中に、ちゃかされたり、いじられながら、一緒にいろいろやらせてもらっているのだ。
 
秀嶋組のスタッフは同世代と上の世代は二人だけ。あとは10歳以上離れた連中ばかりだ。NPOも、オレが最年長で、30代、40代、そして50代頭の連中。歳下の連中に、年寄扱いされ、いじられるのも気にならない。魅力のある連中ばかりだからだ。
 
企業や組織にあっては、到底、表だっても、面と向かってもいえないことがあるだろう。だが、映画づくりに年齢など関係ない。収益を求めない、利他の活動である、NPOの活動にも、上下の関係は意味がない。

オレが会社で役員までやりながら、それを息苦しく思ったのは、利益や収益を目的とするがゆえに、どうしても守り、尽くさなければならない組織の常識があったからだと思う。それがあることを否定しない、いや必要だと思っている。だが、オレ自身の生き方として、その中にい続けることはできなかった。
 
その意味で、いまのような世代を越えた、建前ではないつながりが心地いいのだ。だから、あえて、年上でも、ため口をきくことがある。相手にも、周囲にもぶちこわしてもらわないといい関係が築けないからだ。
 
時と場合はあるだろう。だが、人が結びつくときに、肩書や社会的立場、年齢の上下から始めることほど、くだらないことはない。人の魅力というのは、そうしたものを越えて現れていなくては、魅力とはいえない。

そんな中のひとり、有名洋菓子店の経営者で、高校の大先輩のHさんが連れて行ってくれたサロンコンサート。そこで、いい奏者、作曲家に出くわした。福島を舞台にした映画作品の中で、ぜひ使いたいと思った曲。Hさんが口添えしてくれて、音源をお借りすることができた。

台本に向う時間がほしい…が、今日からいわき。あの旋律が浮かばせた、いつも訪ねる塩屋灯台のある薄磯海岸。音楽と出会って、何回目かも忘れているほど、なじんだいわきに行くというのも、きっと、何かの意味があってのことだろう。
 
台本に向わなくても、きっと、台本を膨らます、何かが、オレを待っているような気がしている。