秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

日々を越えて、日々を守る

無理は承知で、迷惑は承知で、それでも、頭を下げてでも、お願いしなくてはいけないことが人にはある。

日々、そつなく、ことなく、人に面倒や迷惑をかけずに過ごすことを心がけることは、当然ながら、大事なことだ。だが、日々、そつなく、ことなく、面倒や迷惑をかけないようにしていさえずれば、それで、だれかの、なにかのために、何事かを果たせるわけではない。明日を拓けるわけではない。

日々の常識や当り前を越えようとするために、ときとして、申し訳ないことだが、その日々に波風立ててでも、進まなければいけないことがある。
 
人が何事かを進める…ということには、周囲の力の提供、協力がいる。それはときとして、周囲にとって面倒なことかもしれない。迷惑と感じることかもしれない。だが、進める何事かに私利私欲なく、水に映る月のごとく、凛とした思いさえあれば、それを傲慢や不遜ととられることはない。

明日、夕刻から、いわきへ向かう。今回は5泊という長丁場。戻りは金曜日19日になる。MOVEで進めている福島えこひいきネットワーク事業「Smart City FUKUSHIMA
MOVE」のSNSに掲載する写真やテキストの収集と、その中でスタートするMOVE放送局で提供する映像情報の収録のためだ。

MOVEの仲間、応援協働してくださっている団体にお願いする部分はあるが、これまでに御縁をいただいている生産者、業者、市民グループには直接伺い、一件一件、心を尽くして御説明し、取材させてもらおうと考えている。
 
そのために、時間を割いていただき、いろいろとお気遣いいただくことになる。相手の都合や事情を優先すれば、心苦しい一面もある。だが、いままで同じでは越えられないものがあることは、実は、福島の人たち自身がよくわかっている。先行きはわからなくもと、なにがしか、いままでとは違うことに取り組む。そこからしか、いまの日々を越えるヒントや力は沸いてこない。

この間の会津応援バスツアー&セミナーも、自分の映画制作作業もあり、実施前ひと月という慌ただしさの中で、会津地域連携センターさんに力を仰いだ。決してゆとりがあるタイミングでもなく、なにかと忙しい最中でのことだ。それでも、あえて、お願いさせてもらった。

石橋を叩き、算段を重ね、さらには、時を待つ…ということも人には必要だ。だが、事に当たっては、事情は至難であっても、あえて、前へ進む道を選ばなくてはいけないときがある。計画通りとはいかないまでも、計画に従って、事を進める。その決意の中にしか、だれかの、なにかのための今日、そして明日をつくっていくことはできない。

それが引いては、いまある日々を守り、育て、面倒やご迷惑に報いることにつながるからだ。