秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

苦難は当然のこと

ショートムービー「誇り」(福島を題材にした社会教育映画)と毎年制作しているいじめ対策教育作品の撮影が昨日で終了。

ロケの手配に、東映でのオーディション、香盤表の作成、助監督・制作進行への撮影段取りの指示、スタッフ会議と続き、クランクインの準備を終えてすぐ、インの4日前から車でいわきに向い、二泊し、豪雪の会津に向い、一日置いて、再びいわきロケ。
 
いまや勝手知たる、いわき・会津とはいえ、弾丸トラベラーの日程は苛酷。

さすがに体ががちがちに固まり、会津から戻って、馴染みの赤坂のマッサージ店のU先生を呼ぼうとしたら、予約でいっぱい。撮影途中もほぐしてほしかったが、その日も予約でダメ。結局、固まったからだのまま、なんとか昨日までの撮影を乗り切った。

少し陽気が緩んでくれたらと思っていたが、いわきロケは海の強い北風にさらされて、被災した薄磯海岸でタイトルバックとエンドロール用の撮影。ファーストシーンの平鮮場での駐車場ロケも厳しい寒さと風の中だった。

東京に戻り、翌日は天王洲アイルでの外ロケもいわきほどではなかったが、風の冷たさはやはり厳しい。
 
震災から1か月以上過ぎた4月後半の設定のため、役者の衣裳も相物。長時間風にさらされるスタッフも大変だったが、役者たちにもきつい撮影になった。

だが、いわきロケに出演した俳優たち、今回初めて福島の海岸の被災の現状を目の当たりにしたスタッフたちも、いろいろと感じるところがあったようだった。
 
若い父親役の男優は、「連れてきてもらってほんとうによかったです。見ているのといないのとでは、芝居がだいぶ違っていたと思います…」。東京に戻り、バレる前にわざわざオレにそう告げにきた。スタッフもいろいろと感じるところがあった様子だった。

とりわけ、いわきでの撮影に協力してくれたIさんやおのざきのO社長、福島民報のKさんなどの姿が驚きのようだった。さらに、天王洲の天厨菜館の店長で、MOVEと協働してくているPawer of Japan副代表のYさんと店のスタッフ、聖心女子大の女子学生たちの撮影協力やエキストラボランティアの姿にも驚いていた。

今回の撮影。こうしたいわきの仲間たちや協働してくていているNPOの仲間の応援と協力がなければやれなかった。福島のためなら…。いわきのためなら…。その小さな思いと善意の輪の結集が、普通ならもっと大きな費用を必要とする撮影をうちの会社でも手の届くところにしてくれた。

また、ギリギリまでどうなるかわからなかった制作協力会社も他社と一緒に参加していただけることになった。これも、福島やいわきの活動をオレ自身やっていなかったら、微妙だったと思う。

福島を題材にしたドラマ作品を…ずっとそう思いながらなかなか踏み切れなかった。その大きな理由は、MOVEの活動にとられる時間と資金のためだった。今回も、それが十全に用意されていたわけでもなく、MOVEのための時間と資金の必要性は何も変わっていなかった。
 
だが、どんなに厳しい状況の中でも、少しでも前へ。その思いだけでなんとか撮影をやり切った。何事かを実現するために、苦難は当然のことだ。
 
完成した作品は、MOVEで予定している来月早々の会津ツアーのセミナーの前に無料公開する。いわきでの第二回セミナーでも無料公開を予定している。中通でのセミナーでも同じだ。そして、完成試写会は東京で公開し、あわせて、オレの旧作ですかがわ国際短編映画祭に招待された「見えないライン」の同時無料公開も予定している。

結果的にはMOVEの活動やMOVEのこれからに貢献できるものにしたいと願っている。その間隙を縫って、MOVEのSNSネットワーク事業を4月末、5月初頭には仮スタートさせる。

体のがちがちと、メタボ検診はこれからも続く…

写真は同時制作されたいじめ対策作品。内容はかなりシュールになっている。ここでも新しい挑戦。

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