秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

エトスとスイーツ

週末木曜日にいろいろな形で提携、連携、協働している任意団体の理事長さんと厳しい話を含めたミーティング。ほぼ会議状態で、酒なしで3時間。

単刀直入、厳しいこともいわせてもらい、いろいろとあったが、結果的には前向きな議論ができたことと、次への方向性が出たことはよかったと思う。
 
組織や集団というのは、最初は創業の思い、起業することへの情熱といったものがいる。営利を目的としない団体でも、それは同じだ。新しく人がつながり、何事か意志や願いを同じくして、組織を立ち上げるというのに、それがなくてはやれない。
 
だが、それは同時に落とし穴にもなる。
 
とくに、社会貢献やどこかの地域のためや何か人々のためといった大義名分があると、つい組織や集団が持つべき基軸、理念といったものがおろそかになりかねない。
 
あるいは、世のため、人ために何事かできるという願いと思いだけで、では、それをどのように、どういう形で続けていくのか、そして、それはどういう組織的枠組でやるのか…
 
かつ、何を目的とし、どこをゴールとして進むのか…といったプランがあいまいにされる。結果的に、それが組織のあり方をずぶずぶにもするし、かえって周囲からの評価を落とすということにもつながる。

どのような集団でも、マスタープランが必要であり、それを具体化へ移すためのアクションプランがいる。さらには、いつまでに、何をやるのかといったタイムテーブルも。
 
イェー!と勢いで人が集り、ワーイとやっていられるのは最初のほんのわずかなところだけだ。社会や人のために、何事かを達成するのに、その勢いだけでは足りない。
非難や批判の対象を設けて、ただそれだけのために口角泡を飛ばすという活動は、情熱や勢いをつくりだすのは容易だ。人は熱にうなされやす。
 
しかし、実は、それだけでは現実的には何も生み出しはしない。なぜ、そうでなければならないのかという緻密な議論と互いの相違をどう理解し、接点や協働できる道を探せるかということをやらねければ、現実的な救いにはなっていかないのだ。

 
だから、自分たちの組織や陣容、人・物のパワーを直視して、その中でプロジェクトをどう動かすかをリーダーは考えなくてはいけない。往々にして、それを忘れるから、組織や集団は行き詰る。結果的には周囲にも迷惑をかけることになる。

 
だが、だからといって、これも批判だけしていればいいのではない。では、どうすればいいのか。そのアイディアや考え、取り組みを持ちより、次にどうあるべきかを考えた方がいい。生産性のない不毛な批判や議論は時間の無駄。もっといえば、そうしたことに時間と労力を費やすことで満足し、ビジョンの実現には少しも近づかない。

週末から連休の今日まで、パーティや会合続きだった。その席でも、感じたのはこのことだ。
 
社会や地域、あるいは世界のそこに生きる人々のために、よりよき何かを見出すのに、ビジネススキームを持ち出す人もいれば、情熱だけで押し切ろうという人もいる。
だが、現実に生きる人々にとって必要なのは、そのようなことではない。
 
責任あるリーダーが、責任ある組織をつくり、そこにかかわる人々が程度の差や立場、事情の違いはあれ、あるべき姿に現実を変えていこう…その戦術と戦略、行動原理を持つことだ。

理念とビジョンのないところに、ethosは出現しない。

写真は、今日午後BSで再放送された福岡発地域ドラマ。実話をもとにした、飯塚の高校生たちの話。炭鉱のあと、痩せていく地域にあって、高校生なりの理念とビジョンを持ち、自分たちの行動原理(エトス)を実現した話。
 
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