秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

ビジョンがなくてはそれはできない

先週木曜まで、11日金曜のセミナー冒頭で提言する特定非営利活動法人Social Net Project MOVEの事業内容のプレゼンテーション用パワーポイント制作に追われ、ペーパー資料も合わせて制作していた。それらをもとに、一同に集合できないMOVE IT行動研究部会有志と断続的に会議をやる。

いわき市民に呼びかけ、これまで縁のなかった方たちに有料でセミナーを開催する…そこには、やる側の責任が問われる。その責任意識を共有するために、セミナーに関わった連中は、忙しい時間を割いて、レジメをつくり、パワポをつくっていたのだ。それにオレ自身しっかり応え、代表としての責任を果たすのは当然。

いま実質的に、この行動研究部会に参加を促している10名強の関係者とそこからさらに選抜した5名ほどのメンバーがMOVEのコンセプトワークを担っている。しかし、それぞれみな社会的に忙しい地位にある。提言の骨子とおおよその体裁はオレがつくっているのが現状なのだ。

しかし、立ち上がったばかりの集団。結集した仲間がすべてオレの考えや目指すところを共有しているわけではない。MOVEにかかわってさえいれば、実業において得ができるのではないかだろうか…と考えている人間だっている。オレはそれを否定しない。
 
すべてを奉仕やボランティア精神だけで貫けるほど、人は強くもないし、潔癖でもない。だから、それを拒む気もオレにはないのだ。人は、所詮、欲と二人連れ。
 
だが、対外的、渉外においては、社会貢献を基本とした姿勢はきちんと示さなくてはいけないと考えている。キチンと…というのは、まずは社会貢献という言葉のとおり、社会に献身する精神は揺るぎないものだと人から信頼されなくてはいけないと考えているのだ。
 
いつもいうが、実益はそれがあってこそ、生まれる。最初から実益を求めて、手を差し出すようないじましさは、団体の品格を貶めるばかりか、計算が先に立っていると見透かされれば、それでこのMOVEの活動は、どこにでもある、だれにでもできる、ビジョンのない安易な運動で終わってしまう…とオレは確信している。
 
徹底して利他の精神で実益を求めず、強い情熱で行動するか、きちんとしたビジョンと提言を持ち、制度においても認可された団体としての組織を持つかしなくては運動は起こせない。運動のないところでえる実益は、ただの金儲けに過ぎない。必要なのは、運動を進めるための資金を集めること…主客転倒してはいけない。
 
だから、その音頭をとった人間が自ら、メンバーを含め、関係者に団体のコンセプトを示すために資料づくりに励むのは当然だろうと思っている。NPOとはいえ、法人格を有する団体。その運営と戦略構築は企業並みでなくてはいけないと考えている。物理的な実益を優先しないNPO法人だからこそ、また、団体のコンプライアンスはより重要だとも思っている。
 
この活動をスタートさせようとしたとき、仲間になった何人かから、最初は、取り組みやすいセミナーから初めては…という声があった。しかし、オレはあえて、手間と金と労力を必要とする「大いわき祭」が先だと押し通した。体を動かし、手間と金と労力、汗を費やすことで、かかわりあっているそれぞれが、どうしてこんな一文にもならないことに自分は取り組んでいるのか…を考え、現実にそれが形になったとき、その前といまとで変化を遂げてほしいと思ったからだ。

また、そうした規模を実現することで、どこのどういう集りかわからない団体を地域や社会に認知させていく…というねらいもあった。
 
本当の苦労の多かった一年。オレが仲間と被災地いわきと出会ってから丁度それくらいになる。その時期に当初からやるといい続けてきた「地域新生のためのITセミナー」が実現した。予想していた通り、「大いわき祭」の苦労と蓄積があったからこそ、参加されたみなさん、関係団体の人々に自然に受け入れてもらえたのだと思っている。
 
11日に今回協賛してもらった団体にはあいさつに出向き、今朝、いわき市役所と共催の福島民報社いわき支社にお礼に。市役所の担当課長はすでに、セミナーの成功と参加人数まで掌握していた。MOVEが、それだけ、いわき市の主要部署で目につくようになっているということだ。それは大事に育てていきたい。いわき市での実績がまた、他の地域へ活動を広げていく上で先方にとってオレたちを判断する情報となっていくからだ。
 
手を抜かない。あいまいなことをやらない。いい加減なことはやらない。ぶつかり合うことはあっても、主張すべきは主張する。ビジョンがなくては、それはできない。
 
 
福島民報社5月13日版
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