秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

美人さんたちからの教訓

前例を越える。過去の自分を越える。過去の自分がつくった成功事例から自由になる…その心がけと意識を持つことは大事だと思う。
 
人はつい前例や以前の成功事例が生む、ひとつの形式、計算式にとらわれやすい。それによって生まれる不具合に気づきにくい。かりに、気づいていても、乗り越えることの大変さを考えて、不具合のまま挑戦をやめるということが起きる。

そればかりか、ああすればこうなるはずだという打算が先に立って、つまらない戦略ばかりに頭がいき、いまやるべき戦術を見失う。

これは、政治や経済、制度やシステムといったことに限らず、あらゆることに共通のことだ。
 
きちんとした仕組みやシステムを知り、その枠組み生きる…ということはとても大事なことだ。だが、それができたら、やはり、次にその仕組みやシステムではできなかったことに挑んでいかなくては、マンネリと形骸化に浸り、自分自身、集団や組織自身がダメになる。
 
昨日、高校の大センパイに誘われて、元ミス日本の方たちとの食事に同席させてもらった。どうして、そこにオレがいるかよくわからなかったので、こんなオレでもさすがに遠慮していたのだが、ま、美しい若い女性といられるのだから、断る手はないw

しかし、よく聞けば、お二人ともアーチストを目指している。すでにその世界で仕事もされている。監督業、演出業の悪い癖で、そうだとわかるとどうしても気になる。
 
なにがしか、パフォーマーとしての仕事を目指す人であれば、体の軸や線、立ち姿が気になる。発声にからむ仕事やなにか人の心に訴えるアーチストであれば、かなでる音のあり方、奥行きが気になる。
 
センパイの付録で、これといってその席にいる意味がないのだから、せめて何か役に立つ話をと、余計なアドバイスをしてきた。

正月のBSで、ジュネーブ音楽院で弦楽のクァルテットをつくった若い日本人のトップアーチストたちの話。技術的には非の打ちどころのない、世界でもトップレベルにある彼らが、自分の音楽の壁にぶつかり、乗り越えていくドキュメントだ。とくにバイオリニストは優秀であるがゆえに、これまで自分が学んだ音楽の常識や決まりからなかなか自由な演奏ができない。

もうひとつは、亡くなった勘三郎が語っていたこと。基本をしっかり身につけなくては、その次ができない。形破りのおもしろさは、形があってこそ、できるのだという話。

いずれにも共通なのは、しっかりした基礎の上に形をつくる大切さと、だが、それゆえに、そればかりに縛られ、自由な飛躍や挑戦、もっといえば、前例を越える、過去の成功例を越えることをやめてはならない…ということだ。
 
そのためには、自分がふれる世界を広くすること…それ以外にない。一芸のためにひたすら自分を磨くという、ある意味、閉鎖した視野の中でがむしゃらでなくてはいけないときがある。だが、それと同時に、それ以外の場や空間にふれ、いろいろな人とふれ、学び、それを自分の世界へ生かすという努力と知恵もいる。
 
かつてのように一つの方程式で世の中が回る時代ではなくなっている。それは、世界も同じだ。そしてまた、人の生き方も、目指すなにかも、自分が知っている、得意とする一つの方程式では解き明かせない。
 
台本に煮詰まって、たどりついたひとつの回答は、実は、これ。道を求めていると、こうして、まったく違う世界の美人さんたちから、改めて、自分の仕事に気づかされるものとも出会える。