秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

おかしな国、身勝手な世界

震災から4年半年の昨日。2001年の9.11から14年目の昨日。列島をスーパー豪雨が襲った。

西日本から東日本、とりわけ、津波被害や原発事故被害を受けた福島、宮城がさらなる被害に遭う猛威が襲った。

折しも、NHKがシリーズで放映している大災害特集で、気候変動による台風の異常発生と巨大化によるゲリラ豪雨を越える、スーパー豪雨と竜巻の常識を越えた被害が列島を襲っている、襲い続ける…と警鐘を鳴らすドキュメントを放映してすぐのことだ。

前回のシリーズのときも、番組の帰結に私は批判的なコメントを書いた。地殻変動や周期的に地球を襲うスーパー豪雨、巨大地震津波被害…温暖化による砂漠化。

それらがこれまでの気象の常識、気候変動の常識を越え、頻度が高まっている分析や指摘はあっても、その要因となっている先進国やそれを追う発展途上国開発途上国の資源資本の奪取合戦について、まったく言及していない。

地球温暖化や環境変化の要因となっている人類のこれまでの生産主義、消費優先主義の生活意識を地球的視点から問い直そうとしていないのだ。大災害はまちがななく、列島、地球を襲う。だが、その抑止は、予報能力、技術の向上と避難意識の徹底…

そんなお粗末な結論でいずれの番組も終わっている。

根源的なことを問えば、企業の生産活動、原発をはじめとするエネルギー事業を議論しなくてはならなくなる。それを最初から避けている。

だが、これだけの異常気象、地球規模の変化を把握しながら、根源的な問題の解決や先進国をはじめとする資源枯渇型、持続不能型の経済、社会のあり方を指摘し、見直す視点がなくては、地球という一個の生命体に寄生するがん細胞としての人類であり続ける過ちを糺すことはできない。

戦争にせよ、原発事故にせよ、地球の持つ環境保全能力を越えた計算外の核によって人智を越える被害と人権蹂躙をこの世界にもたらした。核攻撃になった場合、原発事故が起きた場合…それを想定しなければならない社会、国、世界のあり方は異常であり、本来の地球のあり方に反するものでしかない。

大災害は、地球が自然が勝手に環境の方程式や図式、構造を変えて起きているのではない。私たち人類が、生活者が、居心地のいい利己的環境を地球規模に広げた結果、生まれているのだ。

犠牲になるのは、戦争と同じように、資源資本を食いつぶして巨大な利益を得てきた人々ではなく、おめこぼし程度のなにかの優遇を受け、利己的環境主義に対して、反対の声をあげなかった人々たちだ。

おかしな国のおかしなしくみ。身勝手な1%の富裕層が支配する身勝手な世界の身勝手なしくみ。それを正さなければ、おかしな国は、国の体裁さえ保てなくなり、身勝手な世界は地球を自ら滅ぼしていく。