秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

盂蘭盆会の夢

青山霊園は旧暦のお盆(盂蘭盆会)の墓参りでこの連休にぎわっている。霊園の緑の変化は季節の移ろいをつたえ、同時に、春のお彼岸、盂蘭盆会、お盆、秋のお彼岸と先祖の御霊に手を合わせる時期も教えてくれる。
 
この場所がいい場所だとオレが思うのは、ミッドタウンや六本木ヒルズ、そして表参道が近いというだけではない。都会の只中にありながら、人が穏やかに向き合わなければいけない自然の姿やいのちの脈絡を感じさせてくれるものがあるからだと思う。
 
昨夜、MOVEの事務局長をやってくれているSさんの所属する弁護士法人の暑気払いに参加し、そのあと、MOVEの仲間でもあるAさん、Tさんと行きつけの鶏繁で、MOVEのこと、政治のこと、最近オレが頻繁にここで語っている「日本人は何を考えて生きてきたのか」の話題、自由民権運動の話題などで盛り上がり、乃木坂に戻って、風呂に入るとすぐに寝てしまった。5日続きで夜は打ち合わせや飲み会が続いていた。
 
すると、夢を見た。相模原のかみさんといま就活をやっている息子、それにもう一人、痩せてすらりとした青年がいて、夢の中で、その青年がもう一人の息子になっていた。なにやら、その青年はどこか家族の輪に入れないところがあって、オレがそういう性格では、社会に出てもうまくやれないぞ…とか、なにがおまえは不満なのだ…などと難しい話をしていたような夢の記憶があった。
 
朝になって、はっと気づいた。実は、かみさんは、最初の子どもを妊娠してまもなく、クモ膜下出血で倒れたおふくろを見舞いに何度か飛行機で福岡へオレに同行した。
おふくろに生き抜くための明日への希望にしてほしい。そう思って、子どもをつくらないと決めていたオレが初めて子どもをつくった。
 
だが、飛行機がいけなかったらしく、妊娠3ヵ月に満たないうちに、最初の子どもは掻把するしかなくなった。そのあとですぐにできたのが、いまの息子だ。本来なら、その子が第一子になるはずだった。場合によっては、その子が元気に生まれていたら、うちの息子は生まれていなかったかもしれない。
 
ああ…申し訳ない。夢の意味に気づいて、その子に申し訳ないと思った。そのことをオレはどこかですっかり忘れていたのだ。きっと、自分も家族の一人なのだ…そう奴はいいたかったのだろう。きっと男の子だったにちがいない。
 
福島のことに取り組むにせよ、作品に向うにせよ。自分が育めなかったいのち、自分を育んでくれたいのち…そのことを忘れていては、人のいのちも、人への思いもいい形で伝わっていくはずはない。