八重の桜
福島と京都…というのは、因縁が深い。正確には、会津若松と京都だが。
そのとき、避難施設になっていた公共施設の管理運営をやっていたのは、京都府や周辺自治体の職員のみなさんだった。いずれの施設のスタッフの方も丁寧な対応で、インタビュー取材にも快く応じてくださったのを覚えている。
関西地域の自治体がつくった関西連合は、府県ごとの担当自治体を決めて、ひとつの自治体が、被災したひとつの自治体を支援する体制をとった。これは、成功した。寄せ集めで自治体職員が混じってしまうと、情報の伝達から対応に一貫性がなくなる。だが、理由は知らないが、なぜか京都府が福島県の支援にあたることになったらしい。
「戊辰戦争のとき、京都は福島を裏切っていますから、罪滅ぼしみたいなものですよね」。職員のみなさんの人柄と様子を見て、そんな冗談をいった。みなさん、笑いながら、「そうなんですよね…」と頷いていらした。体育館で寝泊まりしながらの支援で疲れたところを、こんなジョークで笑ってもらえれば…と思ったのだ。
ただ、会津戦争で刀を差し、スペンサー銃を構えて闘った八重は、維新後、まもなく兄を頼り京都へ移住している。だから、どれくらい福島の維新後の歴史に踏み込めるかは微妙。福島の自由民権運動などにもふれながら、会津若松にとどまらず、福島全体を派筋として取り入れてくればいいが…。
さっそく福島県や会津若松市は風評被害を乗り越えるきっかけになればと宣伝部隊をつくったらしい。今日から5日まで、日本橋三越前の「ブリッジにいがた」で、京都府と福島県合同で小さな物産展をやっている。京都、新潟、福島それぞれの地域の地銀ネットワークで実現しているイベントだ。
これまでも震災後、県のイベントには積極的に参加している、仲間の小野崎さんが最近スタートした、いわき復興協議会(いわき復興東京オフィス)にも声をかけて参加している。午後から豪雨になるらしいとわかっていので、天気のいい午前の早い時間に自転車で東映に立ち寄る用件をみつけて、応援がてら顔を出した。
実は、MOVEの次の市民祭でたくらんでいることがある。今回は福島県行政を含め、会津若松市との連携を模索しているからだ。いわきをベースとしながら、次は周辺地域、そして、なによりも会津若松…そう活動を始めたときから決めていた。
なにか強い足ががりがあるわけではない。しかし、それを求めて先に進む中にしか、特定非営利活動法人MOVEの未来も、この国の未来もない…そう確信している。