秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

場の回復

3.11が迫っている。
 
各地で様々な行事やイベントが企画され、これまで被災地に関わってきた人々にとっても、また、被災した方々にとっても一つの大きな区切りを迎えることになるだろう。

この被災から1年のときを、ぜひ、これまでの取り組み、役割、責任の見直しとこれから先のビジョンと行動計画の始まりに当ててもらいたい…そう願うのはオレだけだろうか。
 
この一年、いろいろなことが被災地で起きた。美談もあれば、マスコミには載らない人間同士の対立や諍い、そして、事件もあった。
 
また、いろいろな人が被災地を訪れ、いろいろな交流も生まれただろう。人命の救助もあれば、生活支援、文化支援、あるいは、励ましや協働もあっただろう。そのいろいろなものがそれぞれの思いや願い、あるいは計算でやられてきた。

被災地ばかりではなく、被災しなかった地域、都市部においても、今回の震災は多くの教訓と意識の変化を生み出した。教訓としたものもいるし、しなかったものもいる。意識を変えたものもいれば、これまでと変わらないままの連中もいる。

そのすべてにおいて、考えてもらいたい。見つめ直してもらいたい。東日本大震災は何だったのか。何を日本人に教えているのか。そして、自分たちがかかわった活動やかかわらなかったことが、何によって生み出され、どこへ向かおうとしているのか。
 
支援や協働の先に何を見ようとしているのか…だ。
 
何事かをやり、何事かを続けるためには、その次のその先、目指すべき方向性、方針、ビジョンがいる。指標なき活動は、継続できないし、方針なき活動は人の協力や支援はえられない。
 
1年が経ち、国も、地域も、そして生活者も、自分たちの未来について、しっかりした方針と指標を持つときにきている。それどころではなかった。あたふたしていた。ゆとりながかった…という反省はもういい。それよりも、次の1年、そして、その後の行動をどういうビジョンを胸に突き進むのかを考え、明確にするときだ。
 
いま取り組んでいることの成就だけではなく、成就の向こうに何を見て走るのかだ。

いわきの被災や原発地域から避難されてきた方たちとの出会い、オレはまずできる行動を起こそうと考えた。そのとき、亡くなったいのちに誓った思いはいまも変わらない。しかし、その思いを形にする中で、いのちやその他の多くの犠牲を犠牲として終わらなせないために、次にやらなくてはいけない行動原理と考えに出会った。
 
オレが見出したのではなく、向こうからやってきたのだ。その次の一歩を踏み出すための3.11にしてなくてはいけないとオレは思っている。
 
そのオレの考えに近い書籍をみつけた。実に的確だ。『「場所」論』(丸田一著NTT出版刊)。まさに、新たな空間創出による場の回復。それが、次の時代の大きな道しるべになるときが、きっとくる。