秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

スタッフ力

スタッフ力…というのがある。
 
その根幹にあるのは、同じものが見えている、自分の役割と責任が理解できている…ということに尽きる。意見の違いや対立があっても、それは相違のための相違ではなく、対立のための対立ではない。
 
互いの経験と知恵を持ち寄り、出し合うということだ。では、何のために、それぞれの蓄積したものを持ち寄るのか、それぞれのアイディアを出し合うのか…。
 
簡単なことだ。互いの考えを擦り合わせ、同じものを見るため。同じものを見た瞬間から、自分の立場で何をどうしなくてはいけないかが理解できるようになる。
 
オレはいつも、集団作業のたとえとして、ラグビーを持ち出すが、スタッフ力というとき、ラグビーほど、それを理解させるのに的確なスポーツはないと確信しているからだ。
 
フォワード、スクラムハーフスタンドオフ、バックス、フルバックラグビーはその役割が明確に分かれている。違う役割を担う、それぞれの個性が、ひとつの戦術で自在に結びつくためには、イメージの共有とそれぞれの役割を果たし、それを次に渡すアイコンタクト、呼吸がいる。
 
そこには信頼もなくてはいけないし、どのような困難な状況でも仲間を責めることなく、失敗やシクジリを補おうとする同志の精神がなくてはできない。思いやりややさしさといったような生半可なものではなく、このボールをなんとしてもトライに結びつけるという貪欲さと苦境にあっても、あきらめない粘りの精神だ。
 
試されているのは勝敗ではなく、自分たちが長い間積んできたトレーニング。それを支えてきた確信が確かなものであったか、そうではなかったかを選手たちは、試合の中で確かめている。仮に敗北したとしても、その中で、自分たちの欠点や伸びののりしろを把握できる。
 
本当の意味で、自分たちはゴールを目指して一つになれていたのか…それを肉弾戦の激しい攻防の中で問い、問われ続けているのだ。その一つひとつの積み重ねが、チームをいつか、スタッフ力のあるものに変えていく。

いまやっている映像制作の仕事。トレーニングないスタッフとの協働作業。いろいろな意味で、負担が幾人かにかかってしまっている。しかし、それを責めたところで、いいものがつくれるわけではない。

負担があっても、それをいい結果に結びつける。スタッフ力の強化は、そこからしか始まらない。