秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

映画の未来

東映の関係の仕事で朝からロケハン。午後予定より早く終わったので、助監督のYと簡単な打ち合わせのあと、Yと別れて、「連合艦隊長官山本五十六」を観る。
 
いや、あえて劇場で見ようとは思っていなかったのだが、株主優待券の期限が今日までということで、せっかくだからと丸の内TOEI地下へ。
 
この間、女優のUが観て、あれはよかったですよ…なんていってたが…
 
小学生の頃、テレビ映画で山本五十六を知って以来、五十六の登場する映画やテレビドラマはほとんど見ている。その生い立ちから人となりについては、いろいろな本も読み漁っていた。知識と情報がある分、いまさら…という思いがオレには強いせいか、各段、劇場に足を運んでまで…という映画ではないような気がする。

株主優待券を人からもらわなかければ、きっと劇場で観ることはなかった映画。戦争を題材にし、かつ、震災から立ち上がる日本人魂に訴えるとするなら、はるかにNHKの「坂の上の雲」の方が規模、内容、配役ともに抜いている。配役は相当、「坂上の雲」からパクっているがw

ただ、東映ではめずらしくw 反戦という視点から五十六をとらえようとしている姿勢、維新後の日本の軍国主義化の流れの中で、国防とは不戦であることを忘れたマスコミや民衆、軍閥の愚かさと対比させて、五十六の存在をとらえようとしている点は救い。
 
この作品ばかりではないが、合成処理、VFX処理など、映画はもはやデジタル化に完全に突入した。昔のようなフィルムの世界は完全に、映画の世界から消えていくだろう。同時に、映写機しかない地方の小さな映画館で、からくも開館してきた劇場も息の根をとめられていく。
 
設備投資ができない中、デジタル上映用の機器を自腹で導入したところで採算がとれるはずはない。
 
それも時代の波だ…といってしまえばそれまでだが、映画ファンや映画の質を高めていくには、劇場の空気感やそれを支える劇場主、劇場のある地域の人々の思いも大事なのだ。
 
映画館を中心にして街の娯楽がつくられていた時代とは違うが、どこかで映画を守り、育てようという心意気がなければ、いい作品も、いい俳優も、そしていい監督も登場してこない。メジャーではできないところ…それを丹念に育てるところに、映画の未来も、地域の未来もある…ような気がする。