秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

文字は心を映す

街は、どうやら忘年会とクリスマスシーズンを迎えているらしいw ふと気づけば、年賀状を書く時期にもなっている。

この数年は年賀状を書くようになったが、その前は虚礼は不要とばかり、携帯やPCのメールで済ませていた。しかし、あるとき、年に一度、久しく会わない人や仕事でお世話になっている方にあいさつをする…というのも大事なのではないか…と思い直し、乱筆ながら、すべて毛筆で100枚ほどの年賀状を書くようになった。
 
数はかなり絞っている。手書きはさすがにたくさんは書けない。いまはPCでプリントアウトする…というのが普通なのだろうが、それでは、自分の修行にならない…などと古臭いことを考えて、宛名からすべて自書にこだわっている。
 
一年の気持の整理をするのに、毛筆で文字を書くというのも悪くない。やってみると、カナ釘流の拙い文字でも、それなりに集中するし、その方の顔やこれまでの付き合い、感謝の足りていない自分を反省させられたりする。
 
そして、この一年自分がどういう生き方をし、何をしてきたのか…ということを集中した緊張の中で考えることができる。
 
今年一年。オレは、仕事や商売そっちのけで、福島県いわき市を飛び回った。そして、FBを通じて出会ったいろいろな未知の方と仲間や親友といえる関係をもたせてもらうことができた。その未知の出会いが、MOVEという組織を生んだ。
 
メンバーとならなくても、オレのこの国に対する考え方や市民協働という考え方に賛同したり、共感してもらえる多くの人と出会うことができた。協働支援活動を目指す、他の多くの方との出会いもいただいた。
 
まさに、ソーシャルネットワークの力によって、大いわき祭というイベントを実現でき、新たな生活の一面を切り拓いてもらった年だったと思う。

気の置けない仲間だけ、仕事内の関係の中だけ、自分が生活する地域の中だけ…で確かな、疑いのない関係を生きることは、それなりの気遣いはいっても、新たな苦労はない。
 
しかし、これからは、そうした顔の見える人間関係だけでなく、多少、しんどさやわずらわしさはあっても、未知な人との出会いを楽しみ、それを生かす道を探す時代だと思う。
 
自分の生活する枠組を越えて、世界をどれだけ広げられるか。広げた世界をなぞるように生きるのではなく、そこに新しい生活の芽や基礎をどう築いていくのか。自己犠牲を払っても、その新しい世界の秩序や基盤をどう育てられるのか…それが大事な時代を迎えている…とオレは思う。
 
アラ還暦のオレにできるのは、そうした中でせいぜい、明日への種を撒くことくらいしかできないだろう。しかし、年齢にかかわらず、次の時代のためにいま自分たちにできることをしっかりとやりぬく…それが大人の責任だと思う。
 
中学の時、書道の国語教師にいわれた。
 
「秀嶋くん。うまく書けなくてもいいのよ。だけど、この字を秀嶋くんは丁寧に、心を込めて書こうとしたのかしら? 大事なのは、自分の気持を伝えようとする思いなのよ。それは、人と比べて上手にかけてなくても、きっと人には伝わるわ…」。
 
いまでも毛筆に向うとその言葉がいつもよみがえる。文字はまさに、心を映す。