秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

女は変わる

女は変わる…。少女から女へとからだが変化するように、女性は、20歳を過ぎて大人の女性となってからも、大きく変身する生き物だ…。20代から30代の中ごろまではとくにそうだと思う。
 
ひとところにとどまらない…それが女性というものではないだろうか。
 
結婚後、それまでとは女性が大きく変わった…という話も聴くが、それは男性にもいえること。しかし、出産前と出産後では、女性は本当に変わる。いのちを生み、育て、守るということに直面する女性は、男性とはその変化が大きく違う。
 
若い頃は、出会う男性やその男性との性体験や生活体験によって変わる…ということもあるだろう。また、仕事での人との出会いや学習が大きく変えるということもある。
 
女性の場合、意にそぐわない理不尽な性的暴力を受ける場合もあるし、自分のからだを投げ出すような不安定な精神状態が複数の男性との性的な関係を生きさせるということもある。それが、あの子が…と思うほど、女性を性的にしたたかな女に変えることもある。
 
そうした女性の強さと弱さを巧みに利用して、夜の世界がある。
 
規律や決められた取決めには、女性は実に従順だ。ある一定の人間関係ができ、世の中のルールとは相いれない面があっても、あるいは、それが犯罪の要素を含んでいたとしても、女性は決まりに従順になれる。同性のつながりがそこにあると一層、そうなる。
 
だから、これが同性の友人もこなしているルールだと、前提を投げられると、それ自体に逆らうことができない。金銭がからめば、なおそうなる。
 
それでいて、いろいろな男性との折衝を器用にこなすことができる強さ、したたかさもある。夜の商売に限らず、心が病んでいても、笑顔をつくることができるのは、女性だけではないだろうか。心の内をすぐに表に出さない…それが、夜の世界を泳ぐよすがともなっている。
 
おそらく、オレは自分の年齢の同輩連中に比べても、相当、クラブ遊びをやった方だと思う。30代の頃から、銀座や六本木の高級店にも顔を出したし、渋谷のパブ形式のカジュアルなクラブにもよく通った。そして、40代前後になると、歌舞伎町の中国人クラブは一時、毎日のように顔を出していたことがある。

基本、女のいる店では飲まない。いずれも先輩や同輩連中に誘われてだが、いつも腰掛け気分で座っていたから、そこでの人間模様はよく見えた。女のしたたかさも、男の計算も…。そして、始めは清楚だった女性が次第に夜の計算づくの色恋に染まっていく姿も。
 
愛人になって生活をつないだ女もいたし、やくざにひっかかって財産をとられた女もいる。犯罪にかかわってしまった女もいた。ノルマがこなせず、借金したあげく、風俗にいった女も…。
 
どうしたって、夜の世界は、性を仲介にして、商売がある。その際どさを利用する生活だ。決して、安全ではないし、まっとうな世界ではない。芸能の世界と似ている。女は店では脚光を浴びられるし、言寄る男もいる。熱烈ファンだw
 
そこには昼間の世界にはない、下半身の世界がある。もし、言寄れない男がいれば、女の売り上げに貢献し、利用される。借金してまで足しげく通った男も少なくない。

その世界を器用に生きられる女はいいが…そうでない女は心もからだもボロボロになる。やれるのは、ぜいぜい若いうちだけだ。もしくは、この世界で一流になろう、一流になれないまでも自分の店を持とうという志のある奴。男性気質でないと続かない。
 
もうその世界から遠ざかって久しい。
 
オレは40代前後で、そのエネルギーは使い果たした。たまに、そういう店に連れていかれても楽しいとは思えない。落ち着いたバーで、一杯やるか、気の置けない連中とこじゃれたバー・レストランでわいわいやるのが落ち着く。歳のせいではないと思う。
 
社会映画の題材や教育の世界にいると、男女の歪んだ世界は否応なく目にする。その淀んだ世界にも、ピュアなものがある。だが、それはいつも、痛々しく、深くオレの心をえぐる。それがつらくて、あえて、ことさら、その世界を見ようとは思わない。

40代前後で体験した、何かがそうさせている。女は、耐性があるから、そんなオレの感情は、きっとおこちゃまにしか見えないだろう。