深夜食堂
25分ドラマだから、シーンが飛ぶが、それが余剰を排して、かえっていい。なかなかしんみりする内容。めしやのおやじ、小林薫がいい。脇の不破万作といった常連客役も小劇場出身者、一話完結で登場する主要登場人物の若手の面々も、無名の小劇場の俳優。そのどこか頼りない芝居が微妙に現実感を出している。
新宿のゴールデン街や区役所通り、2丁目の路地裏、女子大通りの脇道やションベン横丁で深夜徘徊していた連中、新宿の裏社会に何かしらつながりがのあった人間なら、知っている。オレが若い頃から、深夜から朝までやっているめしやが何軒かあった。
安酒とわずかのつまみで明け方近くまでどこかで飲んで、腹をすかして、めしやの家庭料理で瓶ビールを飲み、飯を食う。だいたい、朝の8時過ぎまでやっている。魚や野菜の煮つけ、焼き魚、肉じゃが、お浸し、揚げ物…それに味噌汁。おふくろのメシだ。冷えてないからいい。恵比寿では、交通事故で亡くなったゆきこさんの屋台がそれをやっていた。
いまや新宿のそうした店や世界へ足を踏み入れる気はまったくない。オレの場合、いろいろと訳ありの事情があったこともあるが、そこにまた足を踏み入れると抜き差しならなくなってしまうようで、避けている。20代から40代前半までは、ほぼ新宿の夜をうろうろしていた。だが、もうあの頃のように、いきがれる歳でもないw
いまや新宿のそうした店や世界へ足を踏み入れる気はまったくない。オレの場合、いろいろと訳ありの事情があったこともあるが、そこにまた足を踏み入れると抜き差しならなくなってしまうようで、避けている。20代から40代前半までは、ほぼ新宿の夜をうろうろしていた。だが、もうあの頃のように、いきがれる歳でもないw
それでも見入ってしまったのは、ありがちな青春懐古調ではないから。若い奴を遠目でみている小林薫の視点があるから、そうなっている。決して、飛びぬけた作品ではないが、この監督・脚本家たちも、若手の俳優もいい勉強をさせてもらっているなぁ…と思う。
こういう地味で、きちんとした作品に関わっていると、ドラマの本道が見える。限られた時間の制約の中で、それをやる…というのも財産になる。こういう作品をつくっていれば、つくり手がやさぐれない。品のある、いい育ち方をする。
つくり手にも、育ちのいいやつと悪いやつがいる。品のある奴とない奴がいる。将来、作家性のある佳作、名作をつくれるのはどちらなのかは、すぐにわかる。