秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

大きな音を立てて歯車が動いた

10日朝から11日の夜まで、いわき市への支援プロジェクトの根回しに奔走する。
 
そこで、実にすばらしい多くの人物と出会えた。とりわけ、相馬屋のS社長の紹介もいただいた、商工会議所事務局長のKさん。偶然ながら、年齢はわずかに下ながら、同じ大学の後輩にあたる。
 
いま実行段階に入ったプロジェクトは、これまでのような単なる支援活動ではない。震災後、Social Net Project MOVEという社会活動グループを立ち上げようと考えた当初から、オレの頭にあったは、「協働する」ということだ。
 
大きな権威を御旗にしたり、既存の組織にぶらさがったり、依存する活動ではなく、かつ、だれかやどこかに支援をする…といった安全な立場にあるものが、そうではない人々や地域、団体に奉仕という名の施しをする…といった考えは全くオレの頭の中にはなかった。
 
それは、いくらきれい事のお題目を掲げようが、いずれは支援される側も支援する側も腐らせる。この構造が政治・行政・企業・団体の内外の癒着の構造や利権の温床になってきたし、教育をはじめとする社会のしくみのあり方そのものをずぶずぶにしてきた。
 
映画やテレビ、舞台といったものもその例外ではない。つまらない前例主義や気取った権威主義が映像芸術や舞台芸術をも腐らせている。アホな団塊が、ますますそれを腐らせる。
 
そうしたものがこの国や人をダメにしてきた時代や経緯をこの身で知っているし、それを変えるために、思春期からそうしたものとぶつかりながら生きてきた。

そして、おそらく、団塊から直後のオレたち世代や新人類といわれた連中の中に、その現実に忸怩たる思いを抱き続けてきた人は少なくない。
 
震災後、人々がどう考えようが、この国のパラダイムはもはや後戻りできない方向に進んでいる。混乱と不安の中にあるからこそ、これまで権威に依存した世界から自由になれるチャンスと環境が生まれている…と考えるのは、まともな感性を持っている人間ならだれでも感じることだ。
 
感じながら、言葉や行動になっていないものをつなぎあわせれば、アホな連中が依存している、もはや形ばかりの権威や既存のシステムなど簡単に壊せる。それほど、既存の存在は強靭ではないし、その内実は、パラダイムの変更に対応できるほど、柔軟性もない。

終ってしまったものにしがみつくほど、この国や社会にはもはやゆとりはないし、そんな悠長なことをいって、夢や希望を持ち、未来へ向けた歩みが踏み出せるものではないのだ。
 
そのメッセージを、どう受け取られようが、オレは明確に発信し続けていた。しかし、ここにきて、そのメッセージに対する反応がこれまでとは明らかに違ってきている…ことを、あらゆる生活の場で実感している。
 
求めよ、さらば与えられん…というキリスト教の教えがある。
 
仏教の法華経の中には、人のため、道のために社会に立ち向おうとすると、それを協働する菩薩たちが地面から次々にその姿を現す…という従地涌出品という教えがある。

いまはその時、この国が変わるための大きな転換期。その志を共にする中で、市民の意識も行動も、大きく変わっていく。
 
「秀嶋さんは、単に商工物産展や東北同士の協働といった活動、あるいは、だれもが考るような映画づくりをイメージしているではないでしょう…。きっと、いわきを越えた、もっと別の大きなところに着地点をみているのではないですか…」
 
Kさんは、話の途中でそういった。まさに彗眼…。実行へ向けた歯車がそのとき、大きな音を立てて動く音が、オレの心の中ではっきり聞こえた。
 
 
 
イメージ 1
 
イメージ 2
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
      いわき駅近く、平の繁華街
相馬屋さんが新しく提供する商品
 
 
イメージ 3イメージ 4
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

骨格だけになった場所でセブンイレブンの営業    四倉漁港での炊き出し取材