乾いた風が心をよぎる
東映のY部長とS次長から表参道にきているので、ランチをしないか…と声をかけられる。ありがたいことだ。
丁度、今期の自主作品の件でこちらも連絡を取ろうとしていた矢先。不思議なものだ。物事が進むときは、自然と段取りが向こうからやってくる。
S次長の家は仙台。震災後、自宅に戻るには車しかなかった。重篤な病気のあと、通院を続けている奥さんとその世話のために仕事をやめて、家にいる娘さん。無事ではいたが、その様子を見るために、帰路のガソリンを積んで、実家に向った。
ほぼ同世代だから、仕事のあれこれも含めて、外で会うと、社内では話せない話もできる。あと数年で退職となるお二人。まだまだ、家に引き込むには、まだ若い…と思ってしまう。
オレたちが青春時代に見た映画やドラマ…。オレたち世代には珍しく、オレが高校生の頃見た舞台…。生き生きした作品や力のある俳優、演出、プロデューサーに溢れていたあの時代に、いろいろな刺激を受けた者同士。
いい作品に対する目は確かだ。それが、言葉にはしなくても、いろいろな期待をオレいかけてもらっている重みにもなっている。
いい作品に対する目は確かだ。それが、言葉にはしなくても、いろいろな期待をオレいかけてもらっている重みにもなっている。
生活のための作品づくりとは別に、オレのわがままと独断と偏見を自在に発揮できる作品をつくらなくては…。こうした人たちにふれていると、常に、その乾いた風が心をよぎる。