秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

FBだからできること

大きな揺れが襲ったのは、青山一丁目のH医院で診察を受け、ミッドタウン3階で買い物をして、事務所に戻ってしばらくして。雑務を片付け、アロマの水を変えようとしていたときだった。
 
かなりの揺れに、とうとう関東大震災並みの地震がきたか…と思った。閉じ込められないために、マンションのドアをとりあえず開けたが、それが精一杯。
 
流しに置いた、アロマの水が揺れで飛び散り、電子レンジの上に置いてあったオーブントースターが床に落ちる。簡易的においてある、御宝前のコップや茶碗、香がひっくり返り、デスクの書類が机から落ちる。
 
コピー機やDVD在庫の収納棚は、幸いずれる程度で倒れることはなかった。電話もインターネットもOK。電気、水も大丈夫だった。
 
近くの桂由美ブライダルハウスの窓は割れ、地上に落下。隣接する喫茶店もガラスに亀裂。うちのビルでも、給水管が破裂するなどの被害が。しかし、人への被害はなかった。
 
 
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揺れが収まり、部屋の片づけが終わったところで、FBを開く。FBには、コメントしなくても、「いいね!」と意志表示できるアイコンがある。とりあえず、無事の確認はこれで…と呼びかける。すぐに、数人が返事をしてくれた。
 
それから零時くらいまで、一度休憩をはさみ、FBにかじりつく。勤め先や出先にいた人間は最新情報を得られない。こうしたときこそ、FB!
 
被災情報や救援情報、帰宅難民のための交通情報など、つけっぱなしにしたNHKテレビから次々に入ってくる情報をウォールに書き込んだり、有益情報を提供するだれかにリンクを貼ったり…。
 
ロスに住むYさんや人生訓の格言をいつも掲載するRさんたちが、いち早く最新情報の提供に当たり始めてくれた。「こんなことくらしかできません…」。阪神の震災を知っているらしいRさんは、被災がひどいに違いないとわかっていて、悔しさにポツリともらした。
 
「とにかく、オレたちにできる、情報の提供を続けよう」。そう呼びかけ、次々にリンクされて戻ってくる情報に、「情報はリピートが大事」とコメントする。ロスのYさんは、それを読んで、ロス時間の明け方まで、繰り返し重要な情報をリンクし続けてくれた。
 
その間にも次々に、FBの仲間が情報をくれる。それをまた、リンクする。そのうち、友だち4000人というRさんが、自分のウォールを自由につかって! と解放してくれた。
 
友だちの数が多い分、より広範に情報を流せるからだ。KOさん、Hさん、Sさん、Tさん、Yaさんと次々に同じように情報を提供し、人の情報にリンクを貼ってくれる人が増える。まだ、友だち承認のやりとりをしてない方も、同じように情報を提供をし、こちらの情報をリンクしてくれる。
 
会社を経営するKさんは、会社に泊まることにしたからと、帰宅難民で家に帰れない方の受け入れを告知してくれた…。思わず、胸が熱くなった。Tさんは、東北の山形に拠点がある。そこから得られた少ないながら、貴重な個人情報を提供していれた…。
 
オレが普段の書き込みややりとりで、この人たちは、きっといざというとき、こうした行動をとってくれるだろう…と思っていた人たち。直接の面識はない。コメントを交わした期間もわずかだ。しかし、コメントやメッセージから伝わる人間性を、本当に現わす行動をとってくれていた。胸がまた熱くなった。
 
オレが昨夜から深夜にかけて、意地のように情報にこだわったのは、震災の第一段階で、一番必要なのが情報だからだ。外にいる人、被災した人にとって、まず必要なもの。明日になれば、大きな被災を受けた場所以外、情報をえることはそう困難ではない。
 
いま必要なことをやる。被災支援には、時系列があるから。正確な情報もないところで、物資の支援をやってもそれが被災者側には負担になることもあるように。
 
オレのいとこが、中越地震のとき、その深夜に東京を出て、長野県経由で十日町に入り、毛布、水、おにぎりの救援物資を届け、そこから約1か月、被災した住民支援に当たったときの経験を聴いていた。
 
これから先、不明被災者、救出された被災者への対応へと支援の形や規模が変わる。
 
緊急支援物資については、それぞれの避難場所や地域によって求めているものが異なるから、これからは被災地の情報が大事になる。大量にボランティアがこられても、対応に困るということもあるし、中には、何の準備もなく、現地に入る人もいて、それが、また生活支援を必要とすることになったりするのだ。
 
FBの役割の初期は終わった。次は、被災地の実情に合わせて、どういう支援ができるかを収集し、それぞれが理性的な判断の中で、行動することだと思う。自分たちの力だけでは、果たせない課題が、ここから次々に出てくるから…。無念ながら、それが人知の及ばない自然の猛威が人にもたらすものだ。
 
とりあえず、ありがとう。その一言を昨夜から今朝にかけ、自分の時間を費やして、少しでも何かの役に立とうと心を奮い立たせてくれた方々に贈りたい。
 
そして、被災支援の次の段階で、オレたちにできることに取り組もう。