秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

FaceBookが教えている

前日、FaceBookの話をしていたら、弁護士のKRさんがひそかにやっていることがわかった。
 
驚いたのは、KRさんが帰ってから30分もしないうちに、PCを見ると、KRさんから友達登録のリクエスト。そればかりか、昼頃には、KRさんが自分のネットワークの友人にも声をかけ、オレのBookに勧誘していくている。
 
どういう関係はともかく、数人の方たちから友達リクエスト。わずか数時間でそれまでまったく縁のなかった様々の方たちと知り合う。
 
その方たちの一人の方がウォールに、書き込みをされていた。ロシアと日本のハーフという女性Kさん。とても、素敵なコメントをされている。
 
ブルーアイに、ロシア系の金髪。外見は日本人のハーフとは思えないほど、美しいロシアの女性だが、日本で育ち、キャリアは完璧に日本。なのに、友達リクエストで知り合う方の多くから、こんな質問をされるというのだ。
 
「どうして日本語がそんなに上手なのですか?」。
 
そこに、悪意があるわけではないだのだろうが、FaceBook(以下、FB)は身元確認が厳しくて、実名、実メール登録が義務づけられている。プロフィール紹介もしっかりある。
 
これまでのSNSでは、いい加減なキャリアを書き込む人もいるだろうが、FBは、顔出ししたい人はするし、既存の友人知人もアクセスする。それに一瞬にして、多くの人が自分のウォールや書き込みにふれる。仕事にも活用していれば、虚偽の記載はすぐにわかるし、それが虚偽とわかれば、信頼を大きく失う媒体なのだ。
 
それだけにプロフィールの信頼性は他のSNSの比較ではない。そこが、あっという間に世界のネットワークツールとして承認された理由でもある。
 
プロフィールを読めば、彼女が日本のキャリアの人であり、日本語が上手というより、母国語の一つに過ぎないことがわかる。それでも、つまらない先入観や思い込み、あるいは、単なる違和感から興味本位のコメントをする人がいる。
 
繊細さに欠けているともいえるが、彼女がたぶん少しいらだったのは、繊細であるかどうかではなく、根本にある日本人の閉鎖性と他者に対して奇異な印象を持った瞬間、自分たちとは別のものというカッティングオペレーションを無意識にやってしまう、潜在的差別意識に気づいたからだ。
 
幸い、多くの方が彼女のコメントに賛同する良識があったからよかったと思うが、彼女のコメントは多くのことをオレたちに教えてくれていると思う。
 
何度か述べているが、差別の基本にあるのは、スティグマ理論。
 
人は、まったく異なるもの対して差別や偏見を持つことは実は少ない。自分たちと差異がありながら、微妙に似ている、共通点があるとなると、突然、差別と偏見は肥大する。
 
日本人の多くに見られる、朝鮮半島や中国、東南アジアの人々に対する差別意識の根幹にそれがあるし、アメリカにおける黒人差別もそれを根底としている。
 
外見は同じなのに、民族意識、文化、生活習慣が違う。しかし、そこにも時折共通点もある。というのが前者。ちょっと自分たちとタイプが違う、考え方が違うというだけで起きてしまう、学校のいじめの基本もここにある。
 
肌の色もルーツも違うのに、同じ言語を流暢に語り、生活意識や様式も自分たちとまったく同じ。それが後者。Kさんが感じたのは、おそらくこの差別と偏見意識だっただろう。
 
異なるものを受け入れるというのは、程度の差はあれ、確かに簡単なことではない。
とりわけ、恥の文化を基本に置き、匿名性を好む日本人にはその傾向が強い。
 
しかし、いろいろな違いを楽しむことで得られる人間的な豊かさの方が、幾倍も人を幸せにできるし、自分自身、幸せでいられる。画一主義が多くの人を傷つけ、同時に多くの人を閉塞感と息苦しい社会へと導くことを、もっとオレたちは学ばなくてはいけない。
 
政治思想が同じ、宗教が同じ、民族の共通性にこだわる。そこからは何も生まれず、対立が悲惨な惨劇を生むものでしかないことを知る時代がきてる。
 
FaceBookは、それをオレたちに教えている。