秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

不安になる夜

代官山のスタジオで編集の仕上げ。
 
この数年、仕上げまで自分でやっていたから、外部のスタジオに仕上げを頼むのは久々。これでオペレーターのKくんも秀嶋組の一員。
 
というか、新編集システムにオレが追い付いてないから、普段なら、仕上げまでやるのができなくなっている。どこかで時間をみつけて、がっつり編集を覚えなくては…。
 
システムの導入に合わせて入れた、画像通信のマイクとカメラも、まだうまく機能していない。
 
友人の女性とたまに双方向をやっているのだが、これがうまくやりとりできない。映像はいくが、声がいかなかったり、両方だめだったりといった状態。
 
相手も忙しいので、早々動作テストに付き合わせるわけにもいかず…。どこかで、うちのOA担当のメガのエースに来てもらわなくいては…。
 
OA関係の宿題を片付けるのは、この作品が終わってからになりそう。
 
事務所に戻ると携帯のメール。めずらしく、MKちゃんが二人展に「いつくるの?」の催促。世田谷のものづくり学校の展示スペースを利用して、水曜あたりから、今度の日曜まで二人展が開催されている。
 
土日の空いてる時間をと思っていたが、そこは人で混むというので、MKちゃんの都合にあわせるよう調整する。携帯のメールに作品をいくつか添付してくれたのだが、絵からEGO-RAPPINの音楽が聞こえてきた。70年代のアングラティスト。ちょっと楽しみになる。
 
このところ、朝からあちこち雑用で自転車を飛ばしているせいか、昨夜は10時を過ぎて、疲れがどっと出る。すると、この間、ふらりと2年ぶりに顔を出した渋谷のバーのママから電話。
 
もしや、店にダチのプロデューサーSか、日本最高齢の監督の孫Kあたりが顔を出しているのでは…。そう思ったオレの勘は的中。Kだった。
 
「こないの?」
「いかない」
間髪いれなかった。いや、いれられなかった。本当に、このところの疲れがどっと出ていた。
「即、返事なのね?」
「つかれてるんだ。今夜は無理」
せっかく久々、二人飲みに誘ってくれたK。その気持ちはわかっている。
「本当にこないの?」
珍しくくいさがるのは、オレと飲みたい気分だったからだ。渋谷のバーに顔を出したのも久々らしい。きっと懐かしさもあったのだろう。昔は二人で店でよくおバカをやっていた。わかっちゃいるが、からだがついていかない。
 
結局、コレドか、最近、奴がよくいくという赤坂のバーで近いうちに飲むことにして、電話を切る。
 
明日のことを考えずに酒を飲めたのはいつまでだったろう…。ふとそんな思いがよぎる。しかし、だからとって早寝するわけでもない。
 
1時近く、借りていたイワの本を読み終える。愛川昌という作家の本は初めて。だが、どこか、夢野久作の名作『ドグラ・マグラ』を連想させる作品。あずかっていたのは、夏頃だか、結局読み直しは一日半で終わる。芝居にしたらおもしろそうな小説。
 
寸断された時間と記憶の物語。バタバタと時を生きながら、体力の衰えの中で、オレの時間はどこだと、ふと不安になる夜。