秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

オレの生きる道

社会問題や教育問題を題材にした作品制作をやっていると、いつも考えさせられる。
 
薬物、少女売春、ひきこもり、自傷家庭内暴力、いじめ、虐待、うつ病自死、セクハラ、パワハラモラハラ、無差別殺人、通り魔事件。人の心に潜む差別や偏見。
決めつけや思い込み、自分の物差しがすべてとする自己中…。
 
そうしたものと常に向き合わされる。そして、台本を書きながら、出会うのは、いままでの自分の生き方、人とのふれあい方、接し方。他者への思いやりのあり方、心のかけ方、言葉のかけ方…。
 
自分の人生を振り返り、かつ、自分のこころを見つめなおさせられる。ときには、痛みを感じるし、懺悔をするように文章をつなれることも少なくない。
 
「お前はどうなのか? どうだったのか?」。その問いに自分をさらさなければ、納得のいく作品にはたどりつけない。
 
そして同時に、取材した事実の向こうにある人々の痛みや苦しみ、孤独、挫折に涙することもある。
 
社会のあり方をそうやって知るほどに、いまのこの国のあり方、政治の姿、世相風俗への危機感と怒りがわいてくる。
 
声をあげられず、虐げられる人。声をあげても、その心根にある深い傷がそうさせている人。笑顔の影にかくれた、深い悲しみ…。陽気で、明るく生きなければ、人々から取り残されると仮面をかぶる人。他者とうまくやれない自分を恨み、妬む人…。
 
そうした姿の直面すると、それを生んでいるものの根源にある、政治も、企業も、地域も、家庭も、忘れてしまったこの国のあるべき姿を復権しなければとも思う。
 
それは、自分も出会う人も新しく生まれ変わろうとすることからしか始まらない。政治家や評論家がするようにでなく、人々がそれぞれの生活の中で、自らの心と手をつかって、変えていくことでしかないのだ。
 
台本をまとめていて、いつも行き当たるのは、その道。オレの生きる道。