秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

お勉強

頭の芯に酒が残り、睡魔の抜けない身体で、朝からブッティストの勉強会に出る。献血やアフリカ支援、被災地支援の奉仕、ボランティアの基本の精神を学ぶ勉強。
 
資格試験をかねた勉強を始めて、一年。休んだのは、撮影とぶつかった一度だけだ。さすがに、昨日はだるさと眠さとの闘い。だが、この勉強、汚れちまった56歳にとっては、汚れた自分の心と向き合える貴重な時間。
 
オレより年輩の方の方が多くて、高齢になっても人に役立てる人間になろう、心をつくろうとしている姿にはいつも頭が下がる。
 
それでいながら、生活の中でいろいろな問題を抱え、仕事や生活のこと、息子さんのことやら、夫婦のことやら、姑さんとのことやらで悩みや問題を抱えている。
 
抱えているからこそ、その根っ子にある自分の執着する心の弱さを乗り越えようと、人のために尽くすことで、自分のあり方、考え方をみつめなおし、身近な人へのふれあいのあり方を変え、心の自由をえようとしているのだ。
 
人は人に育てられる。
 
人のためにしてあげるのではなく、させていただくという謙虚さの中で、実は、人に何かを与えているのではなく、与えられている自分に気づける。それは、親子関係でも、教師と生徒の関係でも、上司と部下でも、年長者と年下の関係でも、男女においても同じだ。
 
オレがそういう本を出していることもあるが、最初の勉強会のときから、同じグループで勉強している方の息子さんの悩みを相談されていた。難しいことはいわない。焦らずに、いままで伝えてこなかった、母親としての愛を届けたらと告げていただけだ。
 
親に反発し、家を飛び出した息子さんは、ネットカフェ難民になり、万引きを繰り返し、それまでは、本人の生活の大変さを酌量し、周囲の温情で許されていたが、あまりに頻繁で、結局、収監された。精神的にも問題があるということで、いまは更正施設にいる。その息子さんから、彼女宛に届いたはがきを読ませてもらった。
 
母を心配し、迷惑をかけているが、立ち直りたいという思いにあふれている。不思議なことだ。彼女が直接、息子さんに働きかけたのではなく、彼女が子どもへのいままでの歪んだ執着から自由になろうと、努力して勉強し、学んだことを奉仕の中で実践する中で、息子さんの心も変っている。
 
それを涙ながらに喜ぶ彼女に姿に、よかったねと語りながら、思わず、言葉が詰まった。人が苦しみを乗り越えて、光明を見出したとき、それはそれをみつめ、応援している人間にも、すがすがしい感動が湧き上がる。それが、なぜか、いつも涙になる。