秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

フォア・ザ・ワン・プロジェクト

一泊二日のブッティストの有資格授与式を終える。
 
全国から639人が参加。同室になった方は、新潟、水戸、松戸、富山、それに東京のオレとさまざま。水戸から参加した方は、白血病は発症していないが、白血球が異常の多く、常に白血病の危険と隣合わせ。体調も好不調が激しいという。
 
それでも、人への奉仕に取り組みながら、一日一日を大事に生きている。そのおかげか、数値は少し安定しているという。
 
いまを元気に生活でき、あれもしたい、これも欲しいといまの暮らし以上のことばかり願っている自分たちの感謝の足りなさをその方に教えられ、オレたちの班の研修は思いのほか、深まった。
 
松戸からの参加者の方は、勤続36年の航空自衛隊の退職者。P3C(対潜哨戒機)に添乗していたという。
 
自衛隊員に自死者が多いという話をしてくれた。金銭問題、女性問題…。社会生活のトレーニングが希薄な分、勤務や訓練のストレスが、金や女の罠に導くのかもしれない。
 
隊員時代は、公務員のため、宗教的な誘いが禁止されていて、できなかった。その中で、部下が4人も自殺したことを深く悔いておられた。
 
富山から来た方は、67歳という年齢。奥さんに勧められて、ブッティストの集まりに参加するようになったのは、退職した3年ほど前。そこから有資格者の勉強をして、ここに来ている。頭が下がる。
 
自分自身、親不孝をして、その親不孝を息子たちにされた。子どもにしてやれなかった親としてのつとめを、せめて孫たちにしてやり、自分の子育ての過ちを取り返したいと心に決めている。
 
白血病の恐怖と背中合せの生活を送っている方は、若いころ、相当に悪で、親を悲しませたらしい。亡くなった父親、祖父たちへの供養をすることで、少しでもその親不孝を償いたいと決意している。
 
アパレルの工場勤務だけでは生活できず、夜は警備員のバイトをして、平均睡眠時間は3時間と聞いた。過去の過ちが生活の苦労を生んでいるのだろうが、苦労の中で、人に尽くすことの喜びを感じている。
 
新潟の新津から来た方は、その中で最年少。先輩たちの苦労話に必死で耳を傾け、それぞれの体験から生きることの大切さを学ぼうとしている。その素直な姿がすがすがしかった。
 
ブッティストに限らず、他の宗教でも、NPOでも、ボランティア活動でも、人のために、社会や地域のために自分にできる何かをしようとするとき、すべてが自分に整っているやら、やるのではない。
 
だれもが、人生や生き方の課題や問題を抱えている。その自分をだれかのために、なにかのために生きることで、変えようとしているのだ。
 
自分の困難と向き合うとき、人は、自分の困難だけに執着する。だが、自分という人間が生んでしまっている困難の要因は、自分の世界にいるだけでは、冷静にみつめるとこも、気づきを持つことも難しい。と、オレは思う。
 
自分も不完全。人も不完全。それを互いに受け入れ合う中で、どうすれば、不完全な自分を少しでも変えていけるか。それを他者のために生きることで、学ぶことが、結果的に、その人の困難の救いの手助けやヒントになっていく。
 
おろおろしながら、参加した集まりで、オレの会社の名前が意味するのもを、改めて教えられた二日間。
 
FOR THE ONE PROJECT 「たったひとりのだれかのために、ただひとつの願いのために…」。それを実現するための運動体がフォア・ザ・ワン・プロジェクト。