秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

突然の突然の女

昨夜、遅く、久しぶりの突然の女。すっかりご無沙汰だったから、こちらも驚いた。

この間、Redですれ違いで久しぶりに顔を見たが、年始に酒豪編集者Rと一緒にメシをして以来、これといった連絡をとることも、会うこともなくなっていた。

ま、突然の女をベティがやるときは、仕事、プライベートで何かあったとき。乃木坂まで新宿の会社から30分はかかるかと思っていたら、わずか10分の特急便で到着。早く、だれかに吐き出さないでは、いられなかったのだろう。で、コレドで話を聴く。

ベンチャービジネスで、競争も激しい中、一昨年の不況で新規開拓部門に力を入れるために、会社の組織替えがあったらしい。

数年前、オペレーション部門から営業に移ったときは、戸惑い、悩み、不安と自信のなさから、仕事の愚痴をよく口にしていた。それが、いい上司と出会い、ハマなどのアドバイスなどもあり、がつんと本気で営業に邁進していた。一人暮しを始めたのもふわふわした自分を追い詰めるため。

おかげで、仕事も楽しくなり、成果も生まれた。それが、自分たちが獲得した新規の顧客を新しい部署に引き継がなくてはならなくなり、自分は既存顧客のサポートと掘り起こし部門になってしまった。

営業魂のなかった女が、営業魂を持って、平日は午前さま、土日も出勤という状態でがんばり、いつか自分の仕事へのプライドが生まれていた。それが、組織の生き残りのためとはいえ、踏みにじられた形。

新規部門にいけなかった悔しさ、せっかく努力して獲得した顧客をほかの人間に手渡さなくてはいけない悔しさ、そして、新たな部門で数字をつくれるかという不安…。そんなかんなで、ま、コレドで荒れる。荒れるといっても、ベティのはかわいいものだが。

いつもは自分から強い酒を飲むこともないベティががんがん強い酒を飲む。それだけでも、相当に悔しく、やり場がないのだろうとわかる。

が、しかし。お育ちが微妙にいい、ベティは、徹底して荒れるということもできない。上司に不満をぶつけられないのも、上司も悔しい思いをしているだろうとわかるから。

荒れたかったら荒れればいい。へこむんだったら、がつんとへこめばいい。なぐさめや励ましは一切しなかった。説教もなし。すべては、奴の気持ち次第だから。

結婚しても仕事を続けたいと考えている奴は、いまの営業職が30過ぎ、40過ぎになっても続けられるものではないこともわかっている。体よく結婚するのでもなければ、人生の岐路をどこかで見極めなければいけない。

オレがいえたのは、よかったじゃん、の言葉だけ。

営業になって、ぐちぐちしていた女が、いまは、その営業の仕事で本気で悔しがっている。それだけでも大きな成長だろう。そして、自分の特質や個性を生かす場はないかとも最近考えるようになった。そのためのスキルを身につけようかとも言葉にするようになった。

渦中の本人にすれば、イタイことだらけなのだろうが、この二年ほどの間に、それだけの経験と考える力をもらえたのは、幸せなことだし、次の試練と選択がそこにあるということは、恵まれていると、オレは思う。

自分にふりかかるよき事も悪しき事も、すべは自分のためになる。試練に出会ってしまうのは、まだまだ、自分の他人や周囲に対する配慮、仕事や生活へ向かう心がけの中で、思い違いや思い込み、勘違いや足りなさがどこかにあるからなのだ。

人は、頭ではわかっていても、言動が伴っていなかったり、つい散漫な気持ちになったり、自分を甘やかしたりする。心を緩める時間は必要だが、周囲への配慮を失うようなそれでは、いけない。

つまり、中途半端はいけない。基本、人は中途半端にできているが、いつもまでも中途半端のままでいるわけにもいかないし、そのままではいられないようにできている。

そうした自分の気持ちに一つ一つ出会わさせてもられえる、仕事や生活の試練は、そのときは腐っても、やはり、あれがあってよかったと、後で思わせてくれるものだ。

たいした話もできず、奴には、物足りなかったかもしれないが、もうそうしたことも、心の奥ではわかっているから、オレがそう語れることもない。

ベティに限らずだが、Redの若手連中は、もう自分の経験と力で、自分の気持ちに正直に歩み出すときにきているような気がする。

もうだれかの言葉に右往左往しなくても、失敗や過ち、自分の愚かさと出会いながら、自分の足で歩けるときにきているし、それをしなてはいけない。

よろす相談屋さんは、もう必要ないのだ。