秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

梅をめでる

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昨夜は、香盤表と衣裳リストの作成、台本の訂正などで、気づけば、午後9時。

この間、コレドのお客様感謝祭で、村娘Rを同伴し、紹介してくれた、投資顧問会社の社長Kさんと前々からの約束で、午後10時に六本木のKさんがよくいくという、バー? スナック? カラオケバー?のような店へ。

超大物男優と離婚した、歌舞伎役者の血筋にあたる、著名女優のNさんがオーナーで、俳優でもあるそのお嬢さんがやっている店。紹介者がないと入れない店らしいが、昨夜は、店の若いスタッフの関係者なのか、20代前半のサラリーマン風男子グループや俳優の卵たちで、大賑わい。

カラオケガンガンで、落ち着いて話ができる様子もなく、気を遣ってくれたKさんは、お嬢さんを紹介すると、すぐ近くのこれも長い付き合いになるというマスターがやっているラウンジ風の店へ。

どうやら、店終りにお嬢さんを誘って、この店でオレと語らせたかったらしい。

彼女の店が新しい場所に移転するらしく、現在の店の閉店まじかということで、客たちにアフターをせがまれ、結局、彼女は来なかったが、朝5時まで、Kさん、マスターのUさんと三人で、飲食業のことやら、店とも縁のある某著名ボーカルグループの話題やら、店の常連のプロ野球選手のことやら、映画づくりのことやら、Kさんの家庭のことやら、とめどなく語り合う。

Kさんがどういう人生を生きてきたのか、あれこれ聴いてみると、これがおもしろい。もともとは時計職人の家に生まれ、後を継がなくてはいけなかったのが、反発し、大学を中退すると渡米。サラリーマンをやっていたが、規模拡大のためには、経理や経営のわかる人間が必要ということで、帰国し、後を継いだ。

親の代から超高級時計を扱い、優良顧客ばかり。そのうち、プライベートな付き合いが生まれ、それが、独立の契機になったらしい。ふとしたきっかけで、顧客のひとりから、自分の会社をどこかに売りたいという相談を受け、それがM&Aの事業にかかわるきっかけになったのだ。

すると今度は、投資顧問をやってくれないかという話が舞い込み、それを手掛けるうちに、現在の仕事をやるようになったという。

職人の息子らしく、当初は、投資などという仕事は、データを転がすだけの虚業だと、マネーゲームにかかわることはイヤだったらしい。しかし、Kさんの夢は、将来、事業で得た利益で社会貢献事業に携わること。ならば、投資会社でもよいではないか。

虚業、実業とはいっても、実業の中にも、人を陥れたり、騙したり、手抜きをしたり、自分の会社や役員の利益ばかりを追いかける連中もいる。ならば、投資会社で利益を出し、それを社会貢献に役立てるのは、虚業といえるのか。その結論に達してからは、自分の夢に向かって、邁進しているという。

人の役に立つことをして、自分が死に直面したとき、自分の人生はすばらしかったとふりかえるような幕の閉じ方がしたい。Kさんはそういう。

基本、マジメな人なのだ。たが、ちょいマジメが勝ちすぎている分、仕事での人間関係はうまくいっても、個人的な人間関係では、きっと、ぎくしゃくしたり、孤独を感じているのだろうなと、ふと思う。それを埋めるために、社会貢献という目標を立てて、自分を鼓舞しているのかもしれない。

だが、動機はどうにせよ、起業家で、しかも投資系の仕事をしている人間で、Kさんのように、実に生真面目に、社会貢献をいう人は、見たことがない。

映画づくりにも興味があるらしく、現在の映画の制作システムやリスクヘッジの話をすると、ずいぶん関心を示していた。

Kさんとこれからどういう付き合いになるかわからないが、いままで出会った人とは、また違う、独特の世界がある。オレと出会ったことで、少し、Kさんの孤独が癒され、Kさんのよき面が広がってくれたらと、思いながら、超めむい身体で帰宅。

一眠りして、PCを開くと、京都の実家に帰っていた京女優のKさんから、ステキな写真が送られていた。東寺の梅。

今日は、2・26事件慰霊祭。京女優Kさんの送ってくれた梅の写真と同じように、麻布十番にある、佐賀鍋島藩菩提寺曹洞宗賢崇寺の境内にも、白梅が散りかけている。

カラオケガンガンの20代の元気な若者たちが集う、いまどきの飲み屋で、居場所をみつけようとしている投資会社のKさんが、季節の花をめでるような時間や気持ちが持てるようになってくれたらと、ふと願う。

昨夜はマリちゃんなど恒例の月例誕生会だったが、青山村には顔が出せなかった。喧騒に満ちた若いだけの飲み屋にいると、やっぱり、あれこれあっても人にやさしい村民たちがいる、青山村が一番、落ち着く。