秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

サムライ

来期へ向けた新作のすり合わせで、東映へ。

例年はいつもタイミングを逃しているのだが、今年は、東映の来年度カタログの締め切り時期に合わせて、新作を制作する予定を立てている。そのため、秋のうちに、新作タイトルや内容について、大まかな詰めをしておかなくてはいけないのだ。

とりわけ、来期4月からのリリースに最低でも3タイトル、5本の新作を発表する予定だから、仕込み作業は、9月・10月に済ませなくてはいけない。10月後半には実際に撮影にも入る。そのため、東映の自主作品とのブッキングをさけるためにも、事前打ち合わせが必要だった。

実は、8月下旬からなにやかや動いていた理由のひとつは、このため。

広報も担当するKプロデュサーは、若いが優秀。酒も強い。広島出身の熱狂的なカープファン。市民球場が閉鎖される最後の試合には、わざわざ休暇をとって、球場にはせ参じた人間。

以前、飲んだときに、広島市民球場は、被爆後の広島復興を願い、市民のカンパによって誕生した球場だという話をしたとき、「よくご存知ですね」と満面の笑みだった。

オレは、1998年に広島アリーナで10,000人規模の沖縄、長崎、広島を結ぶ平和イベントを企画・プロデュースしていて、広島、そして原爆投下については、そう疎くない。

そのYさん、たまたま、オレの息子が通う、C大法学部の出身。もろ、オレの息子の先輩に当たる。

人の縁とは不思議なものだ。

2年ほど前、これもオレの出身地の福岡県の人権啓発作品のコンペで初めて一緒に仕事をし、最終選考で負けて、残念会をやった。そのとき、一緒に飲んだ、うちの自主制作告知の窓口だったNさんが移動になり、そのポストを兼務するようになったのが彼。それが、2年後には、オレの息子の先輩ということになっている。

そんなこんなもあって、あれこれ気遣いいただいている。ありがたい。

オレは、若くてアホな奴には手厳しいが、若くて優秀と判断した人間には、実に謙虚になれる。そうした人と仕事をするのは、年下、年上は関係なく、実に気持ちがいいからだ。とにかく、話が早いのが何より。対等、互角にやりとりできれば、年齢は関係ない。こちらが学ばされることも多い。

そんな打ち合わせをしていたら、この間、農水省のコンペを一緒にやったKさんの上司のCプロデューサーが丁度連絡しようと思っていてと、仕事の話を投げかけてくれる。これも、本当にありがたい。

オレは、最近、思うのだが、年齢に関係なく、義理人情を大切にできる奴、こいつできる奴、男気がある奴、女気がある奴というのは、どこか共通して、サムライと武家の嫁の匂いがするような気がするのだ。

普段は、不器用な面もあり、ぱっと目立つわけでもないが、実は、女好きでもあり、金にも弱い一面があるが、ふと、何かで、本来のサムライ魂が目覚めれば、きちっとサムライとしての矜持を発揮し、仕事をこなす。「武士道とは死ぬこととみつけたり」が秘められている分、普段は、軽妙さも失わない。

どこかに人間としての矜持を保っているからこそ、人は、軽くなれる。その軽さに知識や情報があれば、インテリジェンスが感じられる。さすが、サムライとなる。

オレの回りで、いろいろ面倒をかけたり、世話になっている人たちには、その類の人が多い気がしている。酒豪編集者Rなども、本当に、コテコテ武家の娘だ。断酒中のハマなどもその一人。

損得だけでは生きない、サムライが少なくなった昨今、オレの回りにこれだけのサムライ、あるいは、らしき人がいるのは貴重かもしれない。