秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

日本人の市民力

8月はお盆ぎりぎりまで営業活動。そういう会社が多い。

うちの会社の新しいOA担当になったKくんは、今日からお盆休みという前日の昨日、6時半になって会社に顔を出した。リースが半分終わった編集用、HP用のPCのクレードアップの提案だ。バックアップに6テラのハードウェアも付いたシステムながら、リース料が安くなる。

結婚して退職した女性営業のMからの業務申し送りがあったのか、オレがどう突っ込んでくるかを知った上で、金額、システムすべて先回りした提案になっていた。若いながら、仕事ができる。

物が動かず、消費が動かず、仕事が動かない。とりけわけ、お盆休みの入る8月は、厳しい。それは、映像ソフトのメーカーでもあるうちの会社でも同じだ。ただでさえ、8月は仕事の谷間になるのに、いわば、無風状態のような感じになっている。

株価が上昇し、景気後退の底打ち感が出ているというは、自由競争原理の導入で勝ち組となった企業や団体だけのことだ。基本、小泉政権以後、日本の経済構造が根底から変ってしまい、富が集中するところとしないところが隔絶されているいま、中小零細企業、庶民生活のレベルまで景気浮揚を感じさせるようになるのは、ほぼ不可能といっていい。

経済構造そのものを変えない限り、つまり、自由競争原理で足腰の弱った部分への保護・支援策だけではだめで、システムそのものを変えるしかないのだ。一番手っ取り早いのは、当然、現在の経済構造をつくった政権をとっかえることだ。

民主党がマニュフェストを5ヶ所、修正・補強したことを、マスコミや自公独裁は、民主党の脆弱さとして批難しているが、いま政治に求められているのは、国民の声や市民団体、支持団体の声に謙虚に耳を傾け、政治家の考えや意見がすべて正しいといするのではなく、その声を積極的に政策に取り組むことのできる政治なのだ。

威勢よく、こうだと断言し、こうだと断言したことで、政策の修正ができないと虚勢を張り、指摘される過ちに気づきながら、詭弁を使って辻褄あわせをしてきた結果、いまの経済情勢や政治状況が生まれてしまった。「ごめんなさい」「申し訳ありませんでした」という言葉のない自公独裁は、政治家のあるべき姿、政党のあるべき姿を完全にはき違えている。

マスコミに至っては、相変わらず、他力。ブレのない強い政党、将来ビジョンをしっかり示してくれる政党でなければ、などと批判するばかりで、一つとして、では、マスコミとして、報道を担う者として、政権や政治に対して、こうすればどうだ、こういう考え方はどうだ、という提言が一つもない。

批判する前に、マスコミ、識者は、自らマニュフェストを提言せよ。それがオピニオンリーダーの務めだ。

マスコミが扇動しているのは、だれかがやってくれる、だれかの責任という、まったく、意志と主体性のない、他人頼りの考え方なのだ。いま必要なのは、マスコミも、国民も、政治家も、疲弊している市民も、それぞれが自分たち自身の生活のあり方を自分の眼と実感で再確認にして、こうあって欲しい、こうあるべきだというビジョンを、一人ひとりが持つことだ。

自公独裁が続くにせよ、民主党が政権をとるにせよ、いずれの場合においても、その政権を動かすのは、政党のマニュフェストでも、政治家の威勢のいい言葉でもない。政権を動かすのは、国民一人ひとりの声だ。あいつに任せれて、よくしてくれるはず。それは、これまでどれほど裏切られてきた?

裏切られたと感じるのは、お任せ主義だったからだ。

政治は誰かに任せるものではない。あなたが選び、あなたのビジョンを伝え、あなたが政治を動かすのだ。

自分の暮らし、隣の疲弊した人の暮らしをよくしたいなら、いまこの国で起きている理不尽な格差や差別、人と人の隔絶を打破したいなら、そして、人々がいまより笑顔でいられる国を目指すなら、まず、その声と行動をとることだ。

この夏、日本人が初めて、市民力を問われている。