秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

国民のための政治

今年、上半期の自殺者数が4.7%も増加している。過去最大だった、2003年の34,427人を越え、今年は、日本の歴史始まって以来の自殺者数になるかもしれない。

そもそも、先進国で3万人以上もの自殺者を生んでいるのは、日本だけ。これは、小泉政権以後、顕著な数字だ。しかし、自公独裁政権は、この自殺問題にまともに対処したことは一度もない。

メンタルケアのため臨床心理士やカウンセラーを増やすといった施策や自殺防止の電話相談窓口を増やすなどは、単なる対処療法に過ぎない。問題なのは、自殺まで追い込まれてしまう人間を大量に生んでいる、この国、社会のあり方だ。

20代以下の世代の二人に一人が非正規雇用でしか働けないという社会、正社員と非正規雇用、リストラされない人間とリストラされる人間とに色分けし、負け組、勝ち組なのどという差別用語が、流行語のようになっているこの国のあり方が問題なのだ。

親の収入や学歴によって、子どもの将来が決定されてしまうという不平等なレースがまかり通り、出足をくじかれている人間や失敗した人間が再起するチャンスのない社会、生活保護費の審査を厳しくし、支給金額を削り、高齢者の医療負担を当然とする社会。最初から、弱者を受け入れない、失敗者を受け入れない社会のあり方が問題なのだ。

自公独裁政権は、大企業の収益、株価の変化だけで、国民生活の指標を見てきた。アメリカから押し付けられた新自由主義の競争社会は当然とし、そこで勝ち残れない者は、自己責任として攻め立て、社会から排除してきた。

自公を支える団体や支援組織には、甘い汁が行き渡るように画策しながら、多くの国民の生活を振り返ることは一度もしていない。昨年から今年にかけての追加経済対策は、すべて大企業や官公庁の権益と利益を守るもので、国民生活の現実に対応する施策は一つもないのだ。

株価が10,000円代を回復したと自公独裁は胸を張るが、庶民生活の疲弊と困難は、何一つ緩和されていない。ボーナスカット、減給。リストラの波は、まだ続いている。それによって、労働負担が現行の社員にどんと負ぶさっている。それに対する、セーフティネット、救済の場とチャンスがあまりにもなさ過ぎる。

民主党が昨日、マニュフェストを発表した。

民主党の政策を批判するときに、必ず自公独裁が使うのが、財源。当面、消費税をアップせず、無駄を排除することで、財源を捻出するという言葉が、絵空事だと自公独裁も、マスコミも突っ込む。

民主党のマニュフェストには、甘いところもある。が、しかし、まず、いまこの国がやらなくていはいけないのは、官民の癒着、既得権益にしがみつく官僚支配の構造を打破することだ。自民党税制調査会という密室で決められる税の決定権を奪還することだ。国民が自覚的に選出した政治家主導の国民主役の政治を取り戻すことだ。

政府のばら撒き行政とそれを影で動かしている官僚の視線で見れば、財源がないと見えるのは当然ではないか。

そもそも、現行の政府、官僚組織を見直そうという気が、さらさらないところで、財源が見えてくるはずがない。財源がみえないから、すぐに消費税の増税生活保護費、医療費、年金などの社会保障費のカットが前に出てくる。

つまり、自分たちは痛みを感じずに、他者、国民に痛みを押し付けてきたのが自公独裁政権のやってきたこと。まず、政権を担う者が、身を糾さずして、何が国民に伝えられるというのか。国民の心が動くというのか。

これまでの政策についての自己批判もせず、政権担当能力は自公にあると拳を挙げたところで、現実の国民生活みれば、それは、現実を知らない政治家の愚かさにしか写らない。

自殺者がこれだけ増えている責任を、この国の首相も、自公独裁の政治家もまったく感じていない。それは、人のいのちの尊厳を露ほども、自分の痛みとして感じていないということだ。

他者の心の痛みに気づけない人間に、国民のための政治などできるわけがない。