秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

小沢問題

小沢問題で霞ヶ関が揺れている。

自公はここぞとばかり、参議院議員選挙での逆転へ向けて、政治と金の不透明性をあげつらい、マスコミは、検察からリークされた情報に、小躍りしながら、民主党パッシングをやる。

時効が3月ということもあり、西松建設問題で起訴まで持ち込める決め手がなく、思うように捜査を進められなかった検察が、参議院議員選挙の実質的な選挙活動が始まったいま、タイミングをねらったように、矢継ぎ早に逮捕、事情聴取を始めている。

基本、贈収賄の立件が難しいことがわかっているから、政治資金規正法の不実記載での逮捕。本丸は、贈収賄だが、通常国会の開催直前にそれをやるのも、できすぎている。民主党連立政権の予算審議が思うように運べず、政策の執行に横車を出そうという意図がありあり。

これまでの慣例でいけば、通常国会終了後、予算が成立してからの立件だ。でなければ、予算審議が覚束なくなり、国民生活に重大な影響を与える。もちろん、それもねらいのうち。こんな政権にまかせておけば、予算審議も進まず、国民生活が疲弊することを、国民生活を犠牲にさせて、国民に実感させようとしている。

西松問題にせよ、今回の鹿島を中心とするダム建設に関するゼネコン問題にせよ、政権につく以前の疑惑だから、贈収賄の立件が実は難しい。便宜を図ったとしても、そうした政治的特権を行使できる立場になく、かつ、国土交通省公明党が牛耳っている。

その矛盾を突く、明確な資料がなければ、証言だけでの立件は至難なのだ。それでも、あえて、検察が、こうした贈収賄疑惑で自らマスコミに捜査段階での情報をリークするのは、異例中の異例。あきらかに、そこには、自公時代の政治的圧力や意図が臭う。

自民党の二階や森など、西松問題で、名前が挙がったが、結果、森の院政を守るために、二階をスケープゴートにして、役職から下ろさせ、禊をすませた自民党についての報道は、仕分け作業などの他の報道にかき消され、国民の眼に晒されていない。

つまり、自民党に火の粉が飛ばないように、あらじめ、タイムスケジュールを組んだ上で、善後策をすでに講じてから、今回の逮捕劇、捜査情報の開示ということをやっている。何をかいわんやだ。

そもそも、政治と金の問題は自公独裁政権においてもあったし、自公が勝ち馬に乗るようにして、民主党批判をできる立場にはない。また、自公独裁時代に司直の寡占化が進んでいた。検察、裁判所の公正さなど、いまは死語だ。

ある意味、民主党つぶしのために検察が自公に手を貸している。民主党の中の反小沢勢力も、暗黙の了解で、小沢潰しに一役買っているふしもある。

しかし、それ以上に大きな疑念を感じるのは、アメリカの圧力。

普天間基地問題での民主党ののらりくらり戦術に苛立ったアメリカは、民主党が予想以上に、骨太だったことに気づいた。自公政権時代のように、ちょっと床を靴で強く踏めば、ぴくりとなり、直立不動でいうことを聞き、アメリカ傀儡政権化していたこの国が、民主党になってから大きく舵を切った。

アメリカ政府は、自分たちが民主党連立政権を嘗めていたことに慌てたのだ。それは、いわば、かつて、第二次世界大戦アメリカを震撼とさせた、日本人の矜持や精神性が復活するのではないかという怖れだ。

かつて、田中角栄が戦後初、アメリカを無視して日中国交回復をアメリカに先駆けて実現し、そのすぐ後、ロッキード事件アメリカ議会から火がつき、検察に逮捕、起訴された事件が蘇るのは、オレだけだろうか。

すでに法曹界やマスコミでは、常識となっているが、田中が係争中になくなっていなければ、証拠不十分で無罪の判決が出ていた裁判。

折りしも、日米安保条約締結記念として開始された日米同盟の検討会がスタートしているのも、奇妙な符号。その中で、戦後65年の対アメリカ政策を踏襲しないようなら、民主党攻撃を加速させ、なんとしても政権から引き摺り下ろすぞという恫喝とも思える。

もちろん、いま述べていることは、オレ個人の予想と独断に過ぎない。しかし、こうして小沢問題を読み解くと、実に辻褄が合し、合点がいく。

自公もアメリカも、国民生活のことを第一に考えてなどいない。アメリカによる傀儡化によって、自分たちの権益や特権が守られることが大事で、この国に広がる疲弊した経済や様々な課題によって、子どもから高齢者までが、どれほどの苦難の中にあるのか、実感もしていないし、そのために、利己を越えようなどとは考えていない。

それは、戦後65年のこの国の政治経済の仕組みをみても、アメリカ主義を加速させた小泉政権後のこの国の疲弊を見ても、明らかなことだ。

罰するべきは罰するにせよ。日本の真の独立と日本人の矜持と精神性の復活はとめてはならない。その急先鋒に小沢がいることを、好き嫌いは別にして、この国の人々は知るべきだろう。