秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

ブログの輪

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いつもオレが音作業をやるディオススタジオ。

映画のダビング作業は、ロール分けという作業があるのと、フィルムや24P(デジタル信号になっている24コマ収録映像テープ)が回せる撮影所やIMAGICAなど専門スタジオでないとできないが、それ以外のものは、このスタジオ内で処理できる。

映画関係者はよく知っているかが、ディオスのSやKは、昨年は22本の邦画作品の音効(音楽や効果音をセレクトする作業)をやっている。邦画を支えているといってもいい。Sとは、オレも奴も無名時代からの付き合い。もう25年になる。格段映画をやろうとしていなかったのだが、Sもオレも、いつのまにか、その世界の人間になってしまっていた。その一番弟子がK。

駆け込みでやっていた東映の仕事の音効・整音作業と、何度かこのブログで紹介している、著名女性ナレーターのTさんの音声収録で、昨日正午からスタジオ入り。作品が5分と短いこともあり、かつ、トップ
レベルのスタジオとナレーターさんということで、3時半には作業を終えた。いつも下作業をかっちりやってくれているKの蔭の仕事があるからだ。

作品内容は、この不況の中、中小企業を活性化させるための、官民一体の支援プロジェクトのガイダンスDVD。ま、広報作品の仕事。久しぶりに広告っぽい仕事ながら、社会貢献のための作品だから、厳しい予算だったが、東映へお世話になっている恩返しのつもりもあって、あえて引き受けた。

久々に、ドラマなしのナレーション主体の仕事。キューランプを使うのは、確か2年ぶりくらいだ。ドラマとは違うが、これはこれで、昔の広告屋のノリでちょい血がさわぐ。

プロなら当たり前のことなのだが、この手の仕事は、音楽とナレーションが予定調和的に映像にきちんと収まると、自分の時間の計算式がいかに精密だったかがわかる快感がある。素人からすると、その計算式が初めて見えるので、驚愕が走る。そのどちらも心地いい。生意気に自分の才能を実感したりする。

作業を終えた頃、いつもはどこかの撮影所でダビング作業で缶詰になっているSがめずらしく、会社にいて、顔を出す。丁度、25日に秀嶋組のご意見番女史、ヘアメイクのHの結婚祝いをやるので、来ないかと声をかけると、めずらしくいまのところ体が空いているという。返ってきた言葉は、「場所は、いつも秀嶋さんがいってる青山の店ですか?」

ブログ効果、恐るべし。

Kも、打ち合わせのとき、あの長い文章を毎日更新するってすごいですよね、という。そういえば、20年来の女友だちで、アパレルの社長やってるMが、この間、大動脈解離という心臓の病気で緊急入院し、幸いにして無事で、見舞いにいったのだが、そのときも、「いつも青山で飲んでるんだ、と思って読んでた」という。かれこれ、2年くらい会っていなかったのに、オレの近況を知ってくれていた。

Redのコア常連はもちろんだが、オレと縁があり、日頃ご無沙汰している連中がこうして、ブログを読み、つながってくれていることは、うれしい。実は、オレがせっせとブログを書いているのも、直接面識はないかもしれないが、ブログを通じて、なんとなく人と人がネットワークしてもらえればと思っているからだ。何かのきっかけで、顔を合わせたとき、どういう人なのか、ブログを読んでくれていれば、すぐわかる。

いまなんとか実現したいと取り組んでいる舞台や映画、小説、酒豪編集者Rと進めている次の書籍など、オレの表現を通じて、そういう場と時がつくりたいと願っている。そのブログの輪が、いつのまにかできつつある。その意味で、核となってくれているRedのコア常連やその周辺の連中、それに、オレのミニミニシンポや試写会の会場として、わがままを聞いてくれているYouには感謝だ。

あれこれ苦しい時代だからこそ、人と人が利害を越えて結び付きにくい時代だからこそ、立場も仕事も育ちも違う人間同士が、心の絆で結ばれることが大事だと思う。

表現を通じて、そのために、いのちが使えれば、それ以上の幸せはない、と思う。