秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

男気女気

酒豪編集者Rに書籍の完成原案を送る。

前日は、マジPCに明け方近くまで向かい、原稿書き。あまり眠れなかったが、都合2ヶ月ばかりかかってやっと懸案の企画がまとまる。なんかひとつ解放された感じ。で、いつものマッサージを呼んで、50肩の体をケアし、夜、打ち合わせをかねて、奴と一杯やる。

Rがちょうど青山1丁目で別の打ち合わせがハネたので、外苑前、焼鳥Yoshiで合流。10時近くになると、客はオレたちだけになり、前日、徹マンしたというオヤジさんは、寝不足だから飲むまいと思っていたらしいが、いつのまにかグイグイやってる。結局、オヤジさん、とっととカーテン降ろし、飲みの体勢。11時半近くまで、オヤジさん、奥さん、オレ、Rで、たべり場をやる。

男気、男らしさを語っているうちに、イースト・ウッドの『GRAN TORINO』の話をすると、Rは、こてこてのイースト・ウッドファンだという。あの男らしさがたまらないらしい。

C級のテレビドラマ俳優から映画にいったが、仕事にならず、起死回生で出演したイタリア西部劇、マカロニウエスタンといわれた『夕日のガンマン』で大ブレーク。その後、ニューシネマの時代にB級映画の『ダーティ・ハリー』でハイウッド俳優としてようやく足場を固めた。その後は、『マディソン郡の橋』『許されざる者』といった名作映画で出演、監督をこなし、『MISTIC RIVER』『ミリオンダラー・ベイビー』と相次いで秀作を発表、アカデミー監督賞男となった。晩年に名を成した、典型的な男だ。それら映画を全部観ているというRは、そんなオレとオヤジさんの話にも付いてくる。

近頃、男気のわかる女が少ない。見かけばかりに目がいく。おもしろい話には事欠かないが、話に内容がなく、底の浅い男でも、外見が自分の好みであれば、それで満足する。そんな女が増えている。いわゆるバカねぇちゃん。男が男を生きていないから、女がそんなふうにダメになる。女ががっつり女を生きていないから、男が見かけやウケ狙いの話のテクニックばかりを磨き、心を鍛え、磨かなくなる。

男をダメにするのも、いい男にするのも、女次第。女をダメにするのも、いい女にするのも、男次第。軽薄短小がまかり通っていては、まともな恋愛ひとつしたことのない男女が有象無象現われ、男気も女気も失われていく。馴れ合いのような、緩い、甘えた恋愛が恋愛だとアホ兄ちゃん、バカねぇちゃんは思い込んでいる。

あんな男になりたい、あんな女になりたい。その目標自体が、このところの男女は低すぎる。ファッションやメイク、ヘアスタイルを真似れば、手の届くようなところに目標を置く。だから、男や女を磨く努力をしない。目標を高く置けば、磨く努力は半端ない。外見でなく、内面を磨くには、生活のあり方全部にこだわりと気概がいる。しかし、その努力を惜しまなければ、寂しさを紛らすように、お手頃の相手を探さなくても、その努力に相応しい相手が向こうから近づいてくる。自分の見える異性の世界も変ってくる。

その場限りの楽しさに紛らしていては、そんながっつりした、いい男、いい女には出会えないのだ。