秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

男の器量

日曜の夜、ベティからメール。

また、仕事、男の悩みが話したくて、メシしようという誘いか、と思ったら、カリスマ美容師IがRedに同伴して以来、あっというまに、そのノリノリキャラで、常連仲間入りしたUと、二人で飲んでいて、奴は、PCのメルアドは知っているが、オレの携帯のメルアドを知らないので、たぶん「オレにも、カントクのメルアド、おせぇて~」とバカっぱ風に聞いたのだろう、ベティが「教えていいですか?」とわざわざ、了解をとりにきた。

そんなこと、了解をとるまでもないと思うが、しばらくして、ベティが、オレの許諾をもらおうとした理由がわかった。

「いつ、オレとデートしてくれるんですか?」に始まり、「カントクの家に、3泊分のお泊りセットもって行きます!」。で、ついには、「カントクの家で、クサナギやります!」と立て続けのメール。最初は、相手にしていたが、ベロベロになっていることは、百も承知。で、オレ的には、バカウケだったが、あえて、返信せずに、無視を決め込んだ。

Uが酔っ払うと、寂しがり屋の本性が、モロだしになるから、付き合うと終わらないからだ。ヘタしたら、朝までメールのやりとりになりかねない。まして、眠ってしまえば、まちがいなく、奴は忘れている。

なるほどな。ベティは、Uがベロベロ状態なの、わかっていて、だから、了解をとりに連絡してきたのだ。

たぶん、オレがイタリア男ノリで、ベティに、お泊りセット用意してとけ!とか、デートしようぜ!という話をUも聞いたのだろう。それで、「ぼ、ぼくじゃだめなんっすか!」みたいに、バカっぱけて来たのだ。それは、それで、笑える。

Uは、以前、女に手ひどい仕打ちを受けている。話を聞いて、驚いたが、オレの友人の札幌在住のデータ企画マンやグラフィックデザイナーとまったく同じシチュエーション。それはないだろうと、だれもが思うような裏切りを経験している。男をつくったとか、そんなレベルではない。

ま、すべてが決まった上での、どたきゃんといえば、勘のいい人は理解できるだろう。オレのデザイナーの友人は、彼女との生活のために、中古の一軒家を借り、仕事場と生活ができるスペースを確保して、結婚式までやって、いざ生活となった途端、「やっぱ、無理!」と家を出ていってしまった。彼女はディズニーランドが大好きで、奴と同じ岩手出身だったのだが、彼女の結婚は、上京して、ディズニーランド信仰生活を送るための偽装ではなかったのかと、いまでも奴は疑い続けている。

ディズニーファンは、オレにいわせれば、ディズニーに洗脳された、信者たちの集合だ。幼い頃からディズニーが提供する、現実とはまったく解離した世界に、あこがれと夢をいだき、バカップルになると、年間パスを持ち、男女で信仰を共有し、結婚式をディズニーでやることで、洗礼を受け、子どもが生まれるとその信仰を子どもに継承させる。ディズニーの戦略もそこに照準を合わせている。

もう一人の、失意の中、母の介護のため、札幌に帰ったコンピュータのデータ管理の企画マンは、確かに、北海道の男らしく、外見は人のいい熊みたいだし、頼りなく、優柔不断だった。しかし、これも地元出身の女性と地元で結婚式を挙げ、東京で生活を始めると、これが、コテコテの宝塚ファン。毎日、宝塚に日参し、奴の給与は、彼女の宝塚狂いのために消費された。掃除はおろか、メシもつくらない。セックスもなし。で、文句を言うと、ぷいと家を出てしまった。

これもディズニーと一緒。宝塚は、東宝系なので、東宝の戯曲科にいたオレには、よくわかる。ありえない世界なのだが、そのありえない世界の夢とロマン、幻想で成り立っている。オレが東宝に通っていた頃から、改築前の東京宝塚劇場の前は、追っかけの若い子たちでいっぱいだった。それは、いまも同じ。その頃から思っていたが、来ている子たちの眼は、完全にイっていた。宝塚ファンも、結婚して、女の子が大きくなると、母親は必ず娘を同伴する。これも信仰の継承。オヤジはたまったものではない。

コテコテのエセ信仰に洗脳された女を持った男は、それを女と共有するか、全面的に白旗を挙げ、自由にさせないと、一緒にいられない。男がもたないのではない。女から切られるのだ。

Uがどういう事情で、女の裏切りに合ったのか、その詳細はまだ知らないが、これから二人でともに生きようとして、汗水ながして、生活の場を確保したのに、それが自分も予想しない理由や、理解できない理由で、女から「ごめん!」突きつけられたら、男の立場はない。立場がないだけでなく、自分という人間、男という性が全否定されたような気持ちになるだろう。

どたきゃんは、女だけのもではないかもしれないが、オレのこれまでの経験から、圧倒的にどたきゃんは女の特徴、女の罪。しかし、女にしてみれば、それは、どたきゃんではないし、罪とも思っていない。
すべての女がそうだとはいわないが、幼い頃から親や周囲の大人に甘やかされて育った女ほど、その傾向が強い。

男の器量で、そこのところをうまく、叱責し、ときに許しと塩梅よく、やれればいいのだが、その域に達するには、男にも修行がいる。えてして、そうした女に振りまわされる男は、いい人が多い。また、甘えん坊さん。男同士の付き合いや仕事場では、そうした弱さや甘えが出ないのに、こと女の前に出ると、人前で隠していた、弱さや甘えが出る。

男とは、本来、マザコンで、そうしたものだが、どたきゃんするような女に母を求めても、それは無理。
自分が父親になるしかないのだ。しかし、ほんとの父親になるのもダメ。それは、ただのいい人で終わる。女の都合で体よく利用されて、女が成長すれば、ポイと捨てられる。

正しくは、父親のマインドを持ちつつ、ガツンと男でいることだ。それには、男が孤独に耐えられる強さがなくてはいけない。女に多くを期待して、自分ために何かしてくれることを望むのではなく、また、女に喜ばれようと、世話を焼くばかりではなく、自分のガツンを女に理解させることだ。

Uは仕事もできるし、人当たりもいい。それに、頭の回転も速い。Uだけではないが、そうした男全般にいえることだが、ガツンモードになると果てしなく、ガツンをしてしまう。父親でいられなくなる。それも、またいけない。相手を追い込む。

Uに限ったことではないが、最近の男たちの恋愛ベタには、どうもその傾向が強いような気がする。
いまの時代は、ロマンや幻想を抱いた女たちが量産される時代。女は、恐ろしくリアリストなのだが、
最近は、ロマンと幻想をリアルと勘違いしているリアリストが増えている。

奴らと互角に渉り合うには、ますます男の器量が問われているのだ。バカねぇちゃんと一緒にいるのがいやなら、その器量を男自身が磨くことだ。