秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

女優の厄年

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Red常連とも仲のいい、女優、内田悠子の宣材写真。

もう、だいぶ前に奴に、まるで、宣伝してください!といわんばかりに、ごそっと渡されていたが、まだ、どこにも紹介していなかった。久しぶりに会った昨日、奴と分かれた後で、思い出し、奴の営業をかねて紹介。


昨日は、肩の痛みに耐えつつ、息子の大学入学の記念写真を撮りに、午後から相模原へ。かみさんが予約していた写真館で、写真を撮る。入学して、もう一ヶ月が過ぎているが、息子も履修の手続きやら、サークルの下見やらで、時間がなく、かみさんもボランティアや仕事で、時間がなく、では、連休の間にと、たいぶ前に約束していたが、企画書書きで、オレも忙しいから、連休でなくともと思っていたら、息子の方から、いつにすると、かみさんを通して聞いてきた。

で、トンボ帰りで相模原へ。昨夜、遅くまで企画書を書き、頭がさえて眠れず、肩の痛みもありと、睡眠不足だったが、相模原から戻る頃に、肩の痛みがだいぶ、やわらいでいた。だが、朝から、かなりの雨。ちょいブルーで、だるさのあるオレは、内田が雨の中、来てくれたものの、外出する気力もなく、西麻布のサルバトーレ(オレが一押しのピッツア屋)から出前を取り、得意料理のニヨッキのグラタンソース和えをつくり、奴と部屋飲み。本当は、オーブンにかけて、パン粉をまぶし、焼いた方がうまいのだが、朝から食事をしていなかったオレは、それを待てなかった。

内田とは、確か、この間の舞台公演で顔を合わせたきり。その前のRedでの試写会にも来ていたが、そこでもすれ違い。こうしてゆっくり話しをするのは久しぶりだった。で、この間の舞台の話やら、最近の近況やら、聞いていたら、フィギアの女子強化選手に、トリプルアクセルなどの跳躍回転技をトランポリンを使って指導しているらしい。奴はトランポリンでは、現役時代、一流選手だった。確か、オリンピック強化選手同等の扱いだった。ダンスもやっている奴は、単に跳躍回転指導だけでなく、回転そのものの振り付けにも意見が言える。

そこで、将来を有望視されている女子フィギアの新星が、すっかり内田ファンになってしまい、内田先生の指導でなければ、ロスでの強化合宿にも参加しないと、ほれ込まれてしまったらしい。

そんな話を聞いているうちに、ふと、お前、いくつになったと聞くと、女の本厄の歳。オレの回りには、偶然なのか、前厄や本厄の女子が多い。奴も同じだ。そういうときに、自分の描いている夢や人生に示唆を与えられる出来事と出会う。節目を感じる人と会う。それは、これからの人生をどう生きるのかマジ考えろという人生の転換期だからだ。こうしてオレとさしで話をするのも、何かの必然。そこで、ひとくさり、語る。

奴は、ある意味、これからの人生を生きる上で、フィギア選手の指導という大きなチャンスと出会っている。しかし、選手が奴のことをそれほど信頼したのは、内田自身があれこれ知恵をしぼり、指導法について自ら学び、研究していたからだ。師弟二人で試行錯誤しながら、ひとつの回転技を完成させる。その喜びを感じているからだ。

だったら、お前は、女優として、そういうことをこれまで一度でもしたことがあるのか?と、天が、内田に教えてくれているのではないか、と問いかけてみた。すぐには、オレのいっている意味がわからなかったようだが、要は、所属しているプロダクションから来る仕事の依頼を待つだけ。芝居を見てもそれを見て終わるだけ。それでいながら、飲食のバイト先では、仕事に振り回され、不満たらたら。それでいいのかと問われているのではないかということ。

もし、女優に本気で取り組む気持ちがあるなら、尊敬できる先輩俳優や感動した舞台があったら、マネージャーや知人を介して、あるいはオレの力を頼みにして、どういう鍛錬をしているか、女優としてどういう毎日を送っているのか、あるいは、舞台の稽古をみさせてくださいとお願いしてみるとか、自分は出演していなが、撮影現場をのぞかせてもらうとか、いろいろと勉強をする手立てはある。そうした、声かけをして行く中で、こいつマジなんだなとか、勉強熱心な奴だという印象を持ってもらえれば、次の仕事で一緒にやってみるか、うちの舞台に客演してみないかと声もかかる。人の輪が広がり、チャンスも広がる。それでいて、女優としての勉強にもなる。

あれこれ、オレが気を回して、オレの作品に出演させたり、コレドで、民芸のえらいさんに紹介したりしているのも、そのひとつ。しかし、自分からそれを求めてきたことが、いままで一度でもあったのかと、次第に説教モードに。

日々の暮らしのあり方や考え方、そうしたことも役者ばかりでなく、表現者には重要なファクターになる。身体を仕事にする役者は体の鍛錬も必要。オレが50肩の痛みがあっても、運動を怠らない理由は、健康のためだけではない。撮影現場で、監督は休む時間がない。体力勝負の仕事なのだ。だから、オレは、いつ苛酷な仕事のオファーが来ても大丈夫なように体を鍛えている。また、自分がつくろうとしている企画が通ったとき、その制作についていけるために、体づくりを怠っていないのだ。それが、プロの心得、流儀というもの。

しかし、話をするうちに、以前、同じように部屋飲みをしていて、秀嶋組のご意見番女史、Hから、ズバリ、「あんた、本気で女優になる気あるの?」ときつい一撃をくらったこともあり、思い当たったらしい。得意のトランポリンを使った、アスリートの指導は、明らかに、内田向きだ。中途半端に女優をやるより、もしかしたら、そっちの世界で才能を開花できるかもしれない。しかし、だからといって、いますぐ女優をやめたら、きっと未練が残るだろう。

だったら、もう一度、女優を目指した原点に帰って、ただ仕事を待つだけでなく、自分から人との出会いやチャンスを求めて、飛び込んでいく。学んでいく。研究していくという努力をし、挑戦しなければ、やり続ける意味がない。

偶然を当てにして、ただ、女優業をやっていたところで、たまの偶然でいい仕事と出会えても、それは続かないし、長くは認められない。自分から、打って出て、自分の体でぶつかっていくしか、道は拓けないのだ。

内田に限らずだが、だれかが何とかしてくれる。その姿勢では、何事も手に入れることはできない。中途半端にだらだら続け、結局、折りをみて、退却することになる。人の力は借りるにせよ、自分の道は自分で切り拓く。自分からまず行動する。それがなくては、どのような人生の目標も達成することはできない。

実現するために、いま、自分は何をしなくてはいけないのか。それを冷静に考えることだ。
ただ、やりたい、なりたい、やってますだけで、夢を手にいれることはできない。

自分の世界だけに閉じこもっている限り、レベルは上げられないし、人生の選択も中途半端になる。
そして、チャンスも手にすることはできない。

厄年には、それくらい、確かな意味がある。
それに気づきをもてる人間だけが、厄年をチャンスに変えることができるのだ。