秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

村長の任期

世の中は、連休らしい…。
 
この時期、過去20年以上、5月の連休を連休らしく過ごしたことはない。
 
昨日も、四半期の決算資料の作成から、経理雑務やらで、一日潰れる。お見合い帰りの舎弟のSと新橋で合流し、フリーになったのは、もう夕方6時半過ぎ。
 
前日、女優の内田がバイトしている、和食割烹の店に客としていきたいとただをこねていたので、乃木坂で合流。舎弟のS、内田、オレで、行きたくもなかった奴のバイト先の店に出向く。
 
星条旗通りを新美術館へ向かうわき道にある、六本木旅籠屋。店のつくりといい、ノリといい、オレが通うような店ではなかったのだが…。
 
奴が一度店を使ってみてくださいとアピールしていただけのことはある。うまい。だが、予想通り、値が高い。しかし、スタッフのみなさん、実に感じがよく、奴がオレにぜひ来て欲しいとだだをこねていた理由がわかる。
 
舎弟のSも、相当の食通だが、絶賛。生ものの嫌いなオレでさえ、内田の顔を立ててサービスに出された刺身に、めずらしく箸が伸びる。
 
店を出るときには、板前さんまで顔を出し、従業員全員で見送ってもらった。いつもそうですからと内田はいうが、一人でもお客をえようとする、誠心誠意の表れ。
 
飲食業とは、かくあるべき。熟練したプロの世界がそこにあった。どんなにこじんまりした店でも、その矜持がない店は、いずれ人に飽きられる。多くの人が飽きなくても、オレは飽きる。スタッフと客はいかに親しくとも、そこに礼儀や己を捨てた心遣いがなくてはならない。客を心から楽しませてこそ、店。
 
店長やオーナーと呼ばれる人間はとくに、そうした配慮と自分への厳しさがなくてはならない。それは、仕事とは、おしなべて、そうだからだ。個人の感情で店はやってはいられない。
 
内田に教えてもらったときは、ありがちなセレブ御用達の店かもとも思ったが、実際、若い奴が気楽に来れる店でもないが、奴が一度来ていてくださいといっていた理由に合点がいく。
 
まだまだ、これからの店だろうが、いいメシといい酒、そして、客を客として礼を尽くすサービス業の真骨頂を見せられた。帰り際に、内田をよろしくと従業員全員に頭を下げる。オレは、こいつの父親か! ま、長い付き合いだし、仕方がない(笑)。
 
ハマの誕生会で、オレを気遣い、わざわざトレスアップして参加した、村娘に礼のメールを入れると、前に聞いた外苑の韓国料理の店で食事をしている写真を送ってきた。お返しに、オレたちがつついていた、薬膳しゃぶしゃぶの写真を送る。すると、すかさず、豚嫌いの奴は、豚はいらないの返信。
 
オレは豚だから、しかたなかんべというと、そうだよね~だと。いまに見ていろ村娘。日々のトレーニングで、きっと見返してやる。
 
内田に戯言とパワハラをぶつけながら、そして、舎弟のSの心遣いに感謝しながら、ハンナに続き、日本酒の夜。だが、こうした温かさを感じる店はいい。
 
少人数のこじんまりした飲みがいいと思い始めているオレは、そろそろ村長の任期が終わる頃。